【声明2017.10.11】国と東電は東京電力福島第一原発事故による福島地裁判決を受け止め、原発事故被害者に賠償せよ
2017年10月11日
全日本民主医療機関連合会
会 長 藤末 衛
東京電力福島第一原発事故で福島県民や避難者ら原告3,824人が、国と東電に約160億円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、福島地裁(金沢秀樹裁判長)は10日、国と東電に対して賠償責任を認める判決を言い渡した。原告2,907人に約5億円を支払うよう東電に命じ、うち約2億5千万円は国も連帯して負担するよう命じた。
本判決は、政府機関が2002年に発表した地震に関する「長期評価」に基づき直ちに計算すれば、国と東電は福島第一原発の敷地の高さを越える津波を予見できたと指摘。国が東電に対し非常用電源などの浸水対策を命じていれば事故は防げたとの判断を示した。津波の予見性とその対策をしなかった責任を明確にした点は極めて大きな意味があり、改めて本件事故が人災であることを認定したものと言える。全日本民医連は、国と東電に対し、司法の判断に従い賠償を認め、控訴を断念することを強く求める。
損害賠償については、避難区域外の福島県の原告に賠償を上積みし、県外の原告も対象とするなど幅広く認定された。国の中間指針を基に作った東電の賠償基準は、被害が十分に救済されていない実態を改めて浮き彫りにしたものと言える。判決が認めた賠償額そのものはまだまだ不十分ではあるが、判決で示された救済範囲の拡大が、賠償基準の見直しにつながる真の救済への足がかりとなることを大いに期待したい。
全日本民医連は、本判決を受けて、原発ゼロへ向け再稼働を中止すること、国民の生命と健康、安全を守る立場から、原発事故被害者に寄り添い、引き続き、原発被害の救済と生活再建を強く求めていく決意である。
以上
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