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声明・見解

声明・見解

【声明2025.02.10】高額療養費の上限引き上げは、改めて白紙撤回し安心の医療を提供するよう求める

2025年2月10日
全日本民主医療機関連合会
会 長 増田 剛

 2025年度予算案に盛り込まれている「高額療養費制度の負担上限額の引き上げ」について、改めて白紙撤回するよう求める。

 高額療養費制度は、長期にわたり高額な治療継続ががん患者などの命綱ともいえる制度であり、今回の見直しで患者の自己負担分が引き上げられれば、治療の継続が困難になるのは明らかである。
 全国がん患者団体連合会(全がん連)の負担上限額引き上げに反対するアンケートには、わずか3日間(2025年1月17~19日)で3623人の切実な声が寄せられている。現在想定されている負担増で、平均的な年収区分の約370万~770万の場合、現行の上限額約8万円が、最終的には約13万9千円にもなり、治療のために収入も減少した患者、子育て中で学費などの負担も大きい患者などにとっては、治療そのものを断念せざるを得ないような事態に追い込まれかねない。

 全国からあがったこうした患者の声に、石破首相や自民党・公明党幹部は負担軽減の検討を表明し、福岡厚労大臣は患者団体との面会をするとの考えを示した。そもそも厚生労働省は、高額療養費の負担上限額の引き上げ理由について、「9年前に実施した高額療養費制度の見直し以降、賃上げも実現し世帯収入も増えている」と説明したが、物価高騰の中で国民生活はひっ迫している。また、社会保障審議会医療保険部会で出された「現役世代が保険料負担の軽減を実感できるよう、相当程度高い水準で自己負担限度額を引き上げていくことが重要」という理屈も、わずかな保険料負担の軽減のために、長期療養中の子育て世代・現役世代の患者の高額療養費の負担を増やしてしまっては、全く本末転倒と言わざるを得ない。

 今後の高齢化や医療の進歩も見通して行うべき必要な対策は、医療費への国庫負担率を引き上げることであり、その財源は、大軍拡予算と大企業優遇の税制見直しを行ってまかなうべきである。
 全日本民医連は、高額療養費の上限引き上げは白紙撤回し、すべての世代に安心の医療を提供するよう求める。

以上

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