【声明2025.04.16】OTC類似薬の保険適用除外に断固反対する
全日本民主医療機関連合会
会 長 増田 剛
(公 印 省 略)
自由民主党、公明党と、日本維新の会3党が、医療費4兆円削減に向けて実施を目論むOTC類似薬の保険適用除外は、自己負担増から治療が必要な患者の受診控えなどを生じ、症状の悪化を招きかねない。薬剤の適正使用に困難をもたらし、受療権を侵害するOTC類似薬の保険適用除外に、断固反対する。
2025年2月25日、2025(令和7)年度予算の年度内成立に向けて、自由民主党、公明党と、日本維新の会3党は、医療費の年4兆円以上の削減を条件に3党で合意を交わした。その上で、4兆円の医療費削減に向けて、3党で設置した社会保障費削減のための協議体を設置し、2026年度からのOTC類似薬の保険適用除外を最初のテーマに掲げた。
OTC類似薬の保険適用除外は、「現役世代の保険料負担を含む国民負担の軽減」のためとしているが、保険適用から外すことによって、薬代の負担増になることが懸念される。
日本医師会もOTC類似薬の保険適用除外について、医療機関の受診控えによる健康被害、経済的負担の増加、薬の適正使用が難しくなることの3点をあげて強い懸念を表明した(2月13日宮川常任理事記者会見)。
患者が自己判断で市販薬を使用することの危険性、処方薬に比べて市販薬の価格設定が高いことなどを考えると、「保険料負担の軽減」のために逆に健康を損ねることになっては本末転倒である。乳幼児医療費助成制度で無料、または少額の負担で治療薬が処方されていた地域では、高額なOTC医薬品を購入しなければならなくなる事態が生じる。難病で、医療費助成の対象疾病として月額の自己負担上限額が適用されている患者の場合は、使用しているOTC類似薬が保険適用外にされれば、難病の医療費助成制度からも外されて、大幅な負担増になる。リウマチや広範囲の皮膚炎などで、長期にわたりOTC類似薬の使用が必要な患者もいる。
こうした患者の声を聞き、安全に治療が継続できるようにすることこそ、政治に求められる。
はじめに医療費削減の議論ありきではなく、国民皆保険制度のもとですべての国民に必要な医療が保険給付されるよう、OTC類似薬の保険適用除外の断念を求める。
以上
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