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声明・見解

声明・見解

【要求】全日本民医連2025年参議院選挙「民医連の要求(全文)」 

2025年5月17日
全日本民主医療機関連合会 理事会

◆章立て

はじめに 「ミサイルよりもケアを」
Ⅰ.緊急要求
物価高騰から、いのちとくらし、医療と介護・福祉を守る緊急政策の実施を

Ⅱ.基本要求
1.憲法に基づく人権としての医療・介護の実現、公正な税制で格差を是正し、社会保障の拡充を
【社会保障費の増額、応能負担による保険料と税制・軍事費の削減による財源確保、格差是正】
【医療・介護・福祉の提供体制を守り、アクセス権を保障すること】
【すべてのひとに受療権を保障すること】
【介護保険制度の改悪を中止し、介護保険の抜本改善、大幅な処遇改善を実施すること】
【生活保障、雇用、くらしを守る政策を拡充すること】
【いのちとケアを大切にする財政・経済政策へ、根本的な転換を図ること】

2.憲法9 条を生かし平和な世界の実現を
【改憲発議せず、世界に誇る憲法9条を守ること、活かすこと】
【辺野古新基地建設中止、戦争する国づくりにつながるあらゆる政策の中止を】
【核兵器廃絶、核兵器禁止条約に被爆国日本の参加を】
【日本学術会議の法人化中止。科学者が戦争に協力した歴史の反省に立ち、学問の自由を守ること】

3.憲法および国際的な人権規範に基づく政治、社会の実現を
【国際的な視点での人権保障、ジェンダー平等、すべてのひとの尊厳が守られる社会の実現】
【外国人の人権保障としての生活支援、医療保障の実現】
【政治における民主主義を実現すること】

4.気候正義の実現、エネルギー政策の転換で環境保全を、食糧自給率100%の国に転換を
【エネルギー政策の転換、自然環境の保全】
【被災者支援の拡充】
【水俣病、PFAS】
【食料自給率100%をめざし、農政を抜本的に改めること】

はじめに 「ミサイルよりもケアを」

 2025年参議院選挙は7月までに行われます。今、新自由主義の政治・経済のもとで貧困と格差が拡大し、アメリカとともに戦争する準備がすすんでいます。全日本民医連は、日本国憲法に基づき「平和・人権・ジェンダー平等、人権としての社会保障、ケアを大切にする社会」をめざして、参議院選挙にあたり「民医連の要求」を発表します。ケアを大切にする社会は、充実した社会保障でいのちやくらしを守り、誰もが自由に安心して生きていける社会です。また、所得再分配機能を取り戻し、格差の是正や経済安定化に寄与します。そして、極端な自己責任論から人々を解放し社会の分断を乗り越える力にもなります。
 以下に、物価高騰からいのちとくらしを守る「緊急要求」と「基本要求」を掲げます。

Ⅰ.緊急要求

「物価高騰からいのちとくらしを守る緊急政策の実施を」
 いのちとくらしを守る政策を最優先とし、財源は大企業や富裕層への課税強化と、膨張する軍事費の削減を、
1.憲法9条を生かし平和な世界の実現を
 ・いのちを脅かす軍事予算をただちに削減し、社会保障費にまわすこと
 ・核兵器禁止条約を批准し、日本が核兵器廃絶に先頭に立つこと
2.消費税ゼロをめざし、まず消費税率を5%以下に引き下げる
3.米価格の高騰、米不足を解消する
 ・生活困窮者に米を提供する
 ・米の安定供給を保障する抜本的政策転換を行う
4.社会保障費を増やし、医療や介護・福祉のセーフティネットでいのちと健康を守る
 ・診療報酬・介護報酬の期中改定で危機にある医療・介護の提供体制を守り、すべての人々にアク
セス権を保障
 ・国の責任でケア労働者の賃上げと人員不足の解消を。医療・介護の拡充でケア労働の雇用創出、
経済波及効果により地域経済を活性化する
 ・高額療養費の上限額の引き上げ白紙撤回
 ・医療や介護、障がい福祉サービスの一部負担金を軽減。保険料は応能負担に
 ・マイナ保険証の強制をやめ従来の保険証復活
 ・年金、生活保護基準を引き上げる
5.子ども・子育て、若者への政策・支援を強める
  医療費を18歳まで無料にする。子どもの国保料をゼロにする
  保育料、学校給食、高校・高等教育を無償化する
  奨学金は給付型とし、既存の奨学金返済を軽減する
  家賃を補助する
6.国連の女性差別撤廃委員会の勧告を受けとめ、いまこそジェンダー平等を実現する
 ・選択的夫婦別姓、同性婚の実現
 ・SRHR(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ:性と生殖に関する健康と権利)の保障
 ・性的指向と性自認に基づく差別や排除の禁止、包括的な性教育の推進

Ⅱ.基本要求

1.憲法に基づく人権としての医療・介護の実現、公正な税制で格差を是正し、社会保障の拡充を

 医療や介護制度は社会保険に依拠しています。保険料は応能負担原則に基づき、サービスを受ける際はお金のあるなしにかかわらず平等に給付を受けるのが「社会保険の原則」です。しかし政府は、国の責任をあいまいにして、自己責任を強調しサービスを受ける際に支払う一部負担金を受益者負担として拡大し続け、負担増による受診抑制は「手遅れ死亡事例」を生む土壌になっています。
 憲法25条は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と定めています。人権としての社会保障の実現をめざします。

【社会保障費の増額、応能負担による税制と軍事費予算の削減による財源確保、格差是正】
・人権としての社会保障を実現するために医療・介護・福祉・公衆衛生の予算を大幅に増やすこと。
・社会保障予算を「高齢化の伸びの範囲内に抑制する」という目安対応を廃止し、応能負担による保険料と税制、軍事費の削減により財源を確保すること
・社会保障の強化で所得再分配機能を取り戻し、格差を是正すること

【医療・介護・福祉の提供体制を守り、アクセス権を保障すること】
■コロナ後の感染症対策、公衆衛生対策
・コロナ禍の教訓をいかし、余力ある医療、介護体制の確立し、科学的根拠に基づく感染症対策、公衆衛生対策を行うこと
■医療機関・介護事業所の経営を守ること
・地域包括ケアを支える医療機関や介護施設・事業所、歯科、薬局が安定した経営を維持できるよう、診療報酬、介護報酬の期中改定を行うとともに、抜本的に引き上げること。
・医療機関が医薬品仕入れ等で負担する控除対象外消費税は、患者に転嫁できずにゼロ税率を適用すること
・2024年診療報酬改定と物価高騰等により存続の危機にある病院経営に対し、診療報酬の再改定を行い緊急に支援し、地域医療を守ること。
・当面の物価高騰に対応した、国、自治体による「補助金」等の支援策を急ぐこと
■病床削減の見直し
・急性期病床削減、病床機能再編ありきの「地域医療構想」ではなく、地方自治体や在宅医療・介護も含めた地域の実情に応じた住民本位の地域の医療・介護提供体制を確立すること。そうした検討を行える地域医療構想調整会議としていくこと。
・高齢化による患者ニーズの変化に伴う食の支援など、多様な要求がひろがる中で、歯科医師の養成とともに、医療・介護現場等にも働く場が広がっている歯科衛生士、志望率の低下や離職率の上昇など人員不足に陥っている歯科技工士の養成に必要な予算を増やすこと
・低診療報酬や建築費高騰のなかで民間病院の新・改築への助成を行い、地域の病床を守ること。
■ケア労働者の確保
・他産業並みの賃金水準、賃上げを実現できる診療・介護・障がい者福祉サービス報酬とすること
・高等教育の無償化や給付型奨学金の拡充等による看護職員や介護職員の確保と養成を図る
・ケア労働者の不足の中で職員採用にかかわる高額な紹介料の是正など、有料職業紹介会社に対する社会的規制を強化すること。ハローワークなど公的職業紹介事業の拡充をはかること
■医師を増やして長時間労働を改善、健康を守ること
・医師の人間らしい働き方を実現し、多様な働き方を保障できるようにするために、医師偏在是正ではなく、OECD 平均に比較しても少ない医師の増員を目指し、医師養成数を増やし、医師増員へ舵を切ること
・夜間の交代勤務を可能にする医師体制を確保すること
・医師の働き方改革において、看護師など他職種の増員や処遇改善が実現されないままでのタスクシフトの強行はしないこと
■医薬品
・薬価改定の毎年実施にともなって後発医薬品メーカーの不祥事と流通問題が多発し、医薬品の流通崩壊が加速している。国の医療提供体制が十分機能していない状況を反映した医薬品流通の困難に対し、国民のいのちと健康を守る優先課題として、早急に安定した医薬品提供体制の確立に向けた対応をすること
・OTC 類似薬の保険適用除外を行わないこと
■歯科医療
・お金の心配をせず、安心して歯科医療が受けられるよう、窓口負担割合を下げること
・保険で良い歯科医療を受けられるよう、健康保険で受けられる歯科治療の範囲を広げること
・歯科医療の充実に必要な国の予算を増額すること
・すべての世代が歯科検診を受けられるようにし、検診後、必要な受診ができるよう保障すること

【すべてのひとに受療権を保障すること】
■マイナンバーカード、従来の保険証復活
・任意取得であるマイナンバーカードの強制取得による健康保険証の廃止を中止し、従来の健康保険証を使えるようにすること
■医療費一部負担金等
・誰もがお金の心配なく安心して医療が受けられるよう、医療費の一部負担金ゼロを目指し、当面の減免策を拡充すること
・子どもの医療費一部負担金は、国の制度として18歳まで無料にすること。18歳までの医療費一部負担金無料の制度は、日本に居住するすべての子どもに適用すること
・後期高齢者医療制度の窓口2割負担は早急に元に戻し、さらに減免制度を拡充すること。少なくとも2 割負担化実施時に激変緩和を目的として導入された「配慮措置」の2025年10月終了はやめ、当面継続すること
・インフルエンザワクチン、新型コロナワクチン、おたふくかぜワクチン等、接種が推奨される予防接種は、接種希望者の負担がないように自治体と国が全額補助すること
・無料低額診療事業実施の医療機関を増やすこと。特に公立・公的病院で実施すること。同制度について、院外処方および訪問看護にも拡大すること。それが実現するまでは、自治体として同事業利用者の院外処方の薬代を補助し、国は補助を実施する自治体への助成をすること
・補聴器助成を自治体で行うこと。さらに国の制度として助成を実現すること
■高額療養費
・高額療養費の自己負担上限引き上げは白紙撤回。負担上限額を引き下げること。
■選定療養費
・保険医療の縮小と患者負担増につながる選定療養費を見直し、拡大しないこと。
・茨城県で行っている救急搬送時に、緊急性が無かったとされる場合に適用される選定療養費(※)徴収をやめること。※本来、患者が紹介状を持たずに大病院を受診する場合に徴収する制度を適用
■国民健康保険
・低所得の方や無職の方が多く加入している国保制度を守り、保険料を支払っても生活が維持できる国保保険料(税)にするため、十分な国庫負担を行うこと。減額・免除の措置(77条適用)を拡充すること。
・子どもの保険料はゼロにすること
・国保保険料(税)滞納者への短期保険証、資格証明書発行を中止し、国保加入者全員に正規保険証を発行すること。国保保険料(税)滞納者の実情を丁寧に把握し、厳しい制裁はやめること
・国保の一部負担金を減額・免除する措置(44条適用)を利用しやすいよう改善すること

【介護保険制度の改悪を中止し、介護保険の抜本改善、大幅な処遇改善を実施すること】
・訪問介護の基本報酬の引き下げを撤回し、介護報酬全体の大幅な底上げを図る再改定を至急行うこと
・施設多床室での居住費徴収の拡大、テクノロジー機器の活用を要件とする特定施設での人員配置基準の引き下げ、福祉用具に対する貸与・購入の選択制の導入など、報酬改定を通して実施に移される制度改悪を中止・撤回すること
・今年8 月から実施が予定されている「療養型」「その他型」老人保健施設、「Ⅱ型」介護医療院の多床室での室料徴収を中止すること
・利用料2 割負担の対象者の拡大、ケアプランの有料化、要介護1、2の保険給付はずし(総合事業への移行)など、介護保険の利用に重大な困難をもたらす新たな制度見直しを検討しないこと
・社会保障費を大幅に増やし、必要なときに必要な介護が保障されるよう、利用料、居住費・食費などの費用負担の軽減、要介護認定制度の見直し、サービスの拡充など介護保険制度の抜本的な見直しを行うこと
・介護保険財政に対する国庫負担の割合を大幅に引き上げること
・全額国庫負担により、すべての介護従事者の賃金を全産業平均まで早急に引き上げること。介護従事者を大幅に増やし、人員配置基準の引き上げを行うこと
・介護福祉士養成校をはじめ、介護従事者の養成機関に対する公的支援を抜本的に強化すること

【生活保障、雇用、くらしを守る政策を拡充すること】
■生活保護
・生活保護は生活保障のための制度として権利性を明確にし、周知するとともに、公正な運用をすること
・2013年度から実施されている生活保護費の基準額引き下げは、厚労大臣の裁量を逸脱する行為であることを認め、直ちに中止し、基準額を引き上げること。
・生活保護利用者に対する差別的な施策(生活保護利用者のみジェネリック医薬品の使用義務づけなど)をなくし人権・プライバシー権を守ること
・群馬県桐生市の生活保護行政における組織的不正による地方自治法や生活保護法違反行為、人権侵害を政府として検証し再発を防止すること
・生活保護利用者がフードバンクを利用した際に鳥取市が行っている不当な生活保護費減額を正すこと
・災害時の義援金について、収入認定しないこと。
・同意のない扶養照会はやめ申請しやすい窓口とすること。また、相談・申請者が同席者を希望する場合、その同席を認めること
・すべての福祉事務所および生活困窮者自立相談支援機関に福祉専門職(社会福祉士・精神保健福祉士)かつ正職員の採用を進めること。また、現業員の定数を少なくとも標準数世帯を支援できるように配置すること。現任者が資格取得しステップアップできるような支援を行うこと
・生活保護申請は基本的に受理すること。諸外国に比較し低い補足率を、少なくとも6 割に引き上げること
・無理な生活保護廃止は行わず、利用者の立場に立って事情に応じた適切な運用を行うこと
・大学生の生活保護の利用を認めること
・生活保護利用者の自動車の保有と用途について、例外的に利用を認めるのではなく、その地域で日常生活する上で必要な保有と利用は基本的に認めること
■年金
・最低年金保障制度の確立をめざし、現状で低所得にある高齢者の年金を引き上げること
・年金引き下げの仕組みである「マクロ経済スライド」は廃止すること
■住宅
・「住む権利」を保障するために、所得に応じた負担で入居できる良質な公営などの住宅供給を行うこと
・経済的困窮者に家賃補助を行うこと
■生活困窮者のライフライン停止を行わないこと
・生活困窮者の電気・ガス・水道等の公共料金の滞納に対して、行政が事業者と連携を取り必要な支援を行い、いのちにかかわるライフライン停止を行わないこと

【いのちとケアを大切にする財政・経済政策へ、根本的な転換を図ること】
■公正な税制、軍事費の削減
・不公正な税制をただし、税の応能負担を強め、大企業や富裕層への課税を強化すること
・逆進性の強い消費税は廃止をめざし、緊急に税率を5%に引き下げること
・インボイス制度を中止すること
・社会保障制度を世帯単位ではなく、個人単位に転換すること
・戦争する国づくり、いのちを脅かす軍事費は削減し、社会保障へまわすこと
■賃金、雇用
・最低時給1500円とともに、同一労働同一賃金、男女の賃金格差の解消を実現すること
・社会的共通資本であり、地域住民のいのちを守り生活を支える医療や介護、福祉などで働くケア労働分野での雇用創出を重視すること
■子ども、若者施策
・子育てや教育に必要な予算の大幅な拡大、教育費について少なくともOEDC 諸国平均のGDP 比までの拡大すること
・国際人権規約第13条「教育に対する権利」を履行し、国の教育予算を増やすこと。高等教育無償化、補助金の拡充、給付型奨学金を拡充し、お金の心配なく誰もが平等に学ぶことができる教育制度へ転換すること
・学校給食を無償化すること
・公的保育を拡充し、保育料を無償化すること
・認可基準を満たしている院内保育所へ運営費を保障すること
・学費無償化をすすめること。奨学金は給付型とすること。既存の奨学金返済を大幅に軽減すること。
・子どもに関わるあらゆる医療・福祉制度、教育について所得制限を撤廃すること
・ヤング・ケアラーをふくめ、家庭内でケアを担う人の実態を把握し、公的な介護により支援するこ

■カジノ
・生活も家庭も壊すギャンブル依存症を大量に生み出すカジノ施設は、いかなる地域にも建設しないこと

2.憲法9条を生かし平和な世界の実現を
 日本は「アメリカとともに戦争する国」へ突き進み、いまや、日本の自衛隊は全面的に米軍指揮下に組み込まれようとしています。しかし、自衛隊が外国軍の指揮下に入ることは「他国の武力行使との一体化」にあたり、憲法9条にも政府見解にも反することです。
 憲法9条は、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」
 「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と定めています。文字通り9条に基づく平和外交こそ求められます。

【改憲発議せず、世界に誇る憲法9条を守ること、活かすこと】
・憲法改憲発議をしないこと。憲法9条を守ること。
・米国とともに日本の自衛隊が海外で武力行使する根拠となる集団的自衛権の行使を認める憲法違反の安保法制を廃止すること
・国際紛争は、武力によらず9条に基づく平和外交の力で解決すること。
・9条に反して日本をアメリカの戦争体制に組み込む根本にある日米安保条約の解消をめざすこと。
・米軍兵の犯罪等に日本の主権が及ばない日米地位協定を見直すこと。
・国際法に基づきロシアのウクライナ侵略やイスラエルのガザでの非人道攻撃を終わらせ、恒久平和をもたらすよう9条を持つ政府として役割を果たすこと。

【辺野古新基地建設中止、軍拡予算・戦争する国づくりにつながるあらゆる政策の中止を】
・2025年度8.7兆円もの軍事費予算を直ちに削減すること。
・米トランプ政権による日本の軍事費増、軍拡要求をはねのけること
・沖縄県名護市の米軍辺野古新基地建設を中止し、普天間基地の即時返還を実現すること
・米軍の低空飛行を禁止すること。欠陥だらけのオスプレイの配備は中止し、日本国内から即時撤去すること
・南西諸島、馬毛島はじめ、全国の自衛隊基地の軍事的強化を中止すること
・安保3文書(「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」)を白紙撤回し、他国への先制攻撃を可能とする敵基地攻撃能力保有の閣議決定を取り消すこと
・「防衛費増額に向けた財源を確保するための法律(防衛力財源確保特別措置法)」を廃止すること
・「重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律(経済秘密保護法)」は、政府が恣意的に軍需産業など国家機密の範囲を判断し、さらにセキュリティ・クリアランス制度によって民間人も含めて思想調査し、秘密漏えい等の処罰を行うもので、個人の思想・信条や良心の自由を踏みにじる憲法違反の法律として、施行せず廃止すること
・「防衛省設置法等の一部を改正する法律」は、日米の統合作戦司令本部の設置など、憲法に反して戦争する国づくりを行うものであり、施行せず廃止すること
・「次期戦闘機共同開発条約」は、日本、英国、イタリアが次期戦闘機の共同開発・生産・輸出するための条約で、平和憲法のもとで「国是」としてきた武器輸出三原則に反するものであり、施行せず廃止すること

【核兵器廃絶、核兵器禁止条約に被爆国日本の参加を】
・核兵器禁止条約を批准し、日本が核兵器廃絶の先頭に立つこと
・日本の国是である非核三原則の厳守すること
・核抑止力論に基づく政策を転換し、米国との「核共有」を行わないこと
・すべての原水爆被害者に対する救済・補償を行い、支援を拡充すること

【日本学術会議の法人化中止。科学者が戦争に協力した歴史の反省に立ち、学問の自由を守ること】

3.憲法および国際的な人権規範に基づく政治、社会の実現を
 憲法13 条は、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」。また、12 条は、「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」定めています。これらの憲法条項と国際的な人権保障の到達点に基づき以下の実現を求めます。

【国際的な視点での人権保障、ジェンダー平等、すべてのひとの尊厳が守られる社会の実現】
■優生思想に基づく、いのちの差別を許さない
・優性思想や障がいによる差別や偏見を根絶するために、国は責任をもって国会の謝罪決議と補償法をひろく周知し、優生保護法問題の全面的な解決を図ること
・優生思想や差別、著しい能力主義による人権侵害を許さない社会を実現すること
・旧優生保護法のもとで行政が関与したような人権侵害を二度と起こさないこと
・いのちを選別する尊厳死の法制化を行わないこと
・高齢者が年齢による差別を受けることなく、いのちと尊厳が守られ、最後までその人らしく生活するために必要なあらゆる施策を充実させること
■ジェンダー平等
・LGBTQ、外国人、障害者などに対するあらゆる差別を廃絶するための施策を拡充すること
・政治への女性の参画をすすめ、議会での女性差別をなくすこと
・ジェンダー平等をめざし、選択的夫婦別姓の実現。同性婚を認めること、同性婚が認められるまでのパートナーシップ制度を実現すること。性的指向と性自認に基づく差別や排除を禁止すること
・女性差別撤廃委員会の日本政府への勧告に基づき、女性が健康的な生活を送れるよう、SRHR(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ:性と生殖に関する健康と権利)を保障し、緊急避妊を含む現代的避妊方法への適切なアクセスの提供、人工妊娠中絶の際の配偶者同意要件の削除、国会で女性議員を増やすこと等を速やかに行うこと
・包括的な性教育を推進し、性暴力を根絶させること
■国際的な視点での人権保障
・日本政府は「女性差別撤廃条約」「自由権規約」「社会権規約」「障害者権利条約」「子どもの権利条約」の選択的議定書を批准し、「個人通報制度」と「調査制度」を実現すること
・日本政府は「人種差別撤廃条約第14 条」「拷問等禁止条約第22 条」を受諾宣言で受け入れ、個人通報が可能になるようにすること。「移住労働者権利条約」を批准し、第77 条を受諾宣言で受け入れ、個人通報が可能になるようにすること
・政府から独立して人権侵害から救済するために、すでに世界120 カ国(2023 年現在)に設置されている国内人権機関を日本にも設置すること
・障害者権利条約の完全実施のために、国連の障害者権利委員会からの日本政府への勧告に従い、速やかに改善を行うこと。あらゆる分野において、障害のある人とない人が平等になる社会の実現をめざすこと
・障害をもつ子どものインクルーシブ教育実現を早急にめざすこと。並行して、現在、特別支援学校、特別支援学級で学ぶ子どもの学習環境の改善・向上のために設置基準を満たし、さらに拡充するよう、国庫補助を引き上げること
・日本も批准している「子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)」を全面的に実行するために、必要な施策を行うこと。子どもへの虐待をなくし、すべての子ども、若者の生きる権利と、健やかに育ち学べる権利を保障するよう、十分に予算を拡充し、施策を行うこと
・2024 年通常国会で可決・成立した民法改定による「共同親権」導入は、子の権利や福祉が侵害される危険性がある。2025 年6 月までに実施予定のこうした改定民法は施行せず、審議をやり直し、子どもの権利を中心に据えた親権を確立すること

【外国人の人権保障としての生活支援、医療保障の実現】
・「出入国管理法」について、難民認定3 回目以降の申請者は強制送還できるとされた2023 年改正や、永住権許可取り消しなどを含む2024 年改正などを含め、世界の主要国と比較しても極端に低い日本の難民認定のあり方を見直して再改正し、真の共生社会実現に向けて、排除や差別を助長することのない公正な社会を実現する施策を行うこと
・日本が批准している「難民条約」、「人種差別撤廃条約」、「国際人権規約」等に基づき、在留資格の有無にかかわらず、生活苦に陥った外国人に生活保護を適用すること
・子どもも含め、医療が必要になった在留外国人には、国の責任で医療へのアクセスを保障できる体制を整え、医療費支援をすること
・仮放免等の外国人が無料低額診療事業を利用した場合に事業者が負担する医療費と公費で全額補填すること
・受診時など、必要な時に公費で通訳を利用できるようにすること

【政治における民主主義の実現】
・政党への企業団体献金を禁止すること。組織的に行われていたパーティー券収入による裏金づくりの全容を究明し、関与した国会議員を適切に処分すること
・選挙制度は、民意を切り捨て死票を生む小選挙区制から比例代表中心の制度へ改めること
・憲法19 条の「思想及び良心の自由」を踏みにじり、21 条の「結社の自由」の侵害をもたらす政党助成金を廃止すること
・憲法16 条に定められた請願権をはじめ、国民の政治への参加を保障すること
・国民の声を十分反映できる国会議員定数を確保すること
・政治の意思決定の場でジェンダー平等を実現していくために、パリテ(政治代表の男女均等原則)を導入すること
・政治・行政における旧統一協会などの反社会的勢力との癒着を断つこと
・地方自治法改定は、政府の判断で国が地方自治体に指示し従わせることを可能とするものであり、憲法に基づく地方自治を否定し、根本から崩すものであり、廃案にすること
・DX 化において、プライバシーを守り、自己情報コントロール権を保障し、個人情報を保護すること。
 とりわけ高齢者や障害者など、ハンディキャップのある人びとへの十分な配慮を行うこと

4.気候正義の実現、エネルギー政策の転換で環境の保全を、食糧自給率100%の国に転換を

 世界的な気候危機を脱するために最大限の取り組みが求められています。しかし、日本は石炭火力発電所を維持し、原発政策では「最大限活用」へと「低減」から180 度反対方向転換しました。
 この60年、世界の主要国は基礎食糧である穀物自給率を引き上げてきていますが、日本は75%から29%に激減しました。2025 年度~2030 年度の「食料・農業・農村基本計画(骨子)」には、食糧自給率の向上も明記されていません。日本の主要食糧である米の生産、需給、価格を国の責任で安定化するとともに、農業の担い手の確保、就農支援を行い、食糧自給率100%への転換を求めます。

【エネルギー政策の転換、自然環境の保全】
■エネルギー政策の転換
・COP28パリ協定の目標「世界の気温上昇を1.5 度に抑える」の達成に具体的な対策をとること
・大量生産、大量廃棄の経済活動からの転換をはかること
・石炭火力発電所の増設は行わず、廃止すること
・地産地消の再生エネルギーの研究・開発・普及をすすめること
■原発ゼロ
・原発ゼロ基本法を制定すること。
・GX法運用停止、見直しを行うこと
・「原発の最大限活用」を書き込んだ第7 次エネルギー基本計画を改め、「すべての原発を速やかに廃炉・停止する」立場を明らかにすること
・福島第一原発事故について、国と東京電力が安全対策を怠った責任を明確にし、被災者に対し真摯な謝罪を行うこと
・福島第一原発事故のすべての被害者に対し、福島県内外、避難指示区域内外、居住、避難、帰還にかかわらず被害実態に即した賠償を行うこと
・国と東京電力は汚染水の海洋放出を直ちに中止し、放出の決定を撤回すること

【被災者支援の拡充】
・自然災害や公害、原発事事故などの被災者支援を、人権を守る視点で抜本的に拡充すること。
・震災、災害被災地域の復興は、住民主体にすすめること
・大規模災害発災時、自治体は、被災者の尊厳を守る国際基準「スフィア・ハンドブック」など災害発生時の国際基準に基づき、災害救助法に定められた避難所運営や仮設住宅供与、食料・飲料や生活必需品の給与、住宅応急修理などを速やかに実施すること。また、防災基本法の主旨に則った救助を行い、避難所の生活環境が良好なものとなるよう努めること。
・すべての被害者施策について、住宅保障、生業の再建、雇用の確保、地域の再生と復興、避難先での生活改善など、被害者本位の施策となるよう見直しを行うこと
・能登半島地震被災者への予算を拡充すること
・災害救助法等と福祉法制の連携を図り、社会的脆弱性を抱える人びとを「福祉」の視点で支える枠組みを構築すること
・災害救助法第4 条「救助の種類」の項に「福祉」を追記し、「医療・助産及び福祉」とすること

【水俣病、PFAS】
・水俣病特別措置法による救済対象外となったすべての水俣病被害者を早急に救済すること
・全国で被害があきらかになりつつあるPFAS 汚染について、WHO の勧告や国際基準、予防原則に沿って、国、自治体が責任をもって実態を調査するとともに、地域住民の健康被害、健康不安への対策を早急に具体化すること

【食料自給率100%をめざし、農政を抜本的に改めること】
・「食料・農業・農村基本法改定案」は、国内生産を軽視し、農政を市場任せ、輸入重視で自由化して国民の食料への権利を奪うものであり、廃案にして国の責任で食糧自給率を高めること
・コメ不足の原因である減反政策から脱却し米価高騰を抑えること。そのために市場競争にさらす政策を改め、生産を下支えする価格保障、所得補償と、そのための農業予算を抜本的に拡充すること
・食糧の安全を。特に学校給食や医療や介護での給食は地産地消で食材を提供すること
・自然環境を守る役割も持つ農業を支援する政策をすすめること

以上

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