【声明2026.06.04】全世代に負担増と受診抑制をもたらす、改定健康保険法の可決・成立に強く抗議し、国民皆保険制度を破壊する同法の撤回・廃止を求める
2026年6月4日
全日本民主医療機関連合会
会長 増田 剛
第221回特別国会に提案された健康保険法等の一部を改正する法律案が、5月29日の参院本会議にて可決・成立した。この改定法は全世代に大幅な患者負担増をもたらし、受診抑制を拡げかねない。全日本民医連は、患者・国民の受療権侵害を招くこの改定法の可決・成立に強く抗議し、断固撤回・廃止を求める。
この改定法によって薬剤費の「一部保険外療養」が創設される。2027年3月から、ロキソニンやアレグラなど市販薬と同等の効能を持つ77成分・1100品目について、薬剤費の25%が保険給付外(特別の料金)となる。3割負担の患者の自己負担額は約1.6倍へと跳ね上がり、70歳未満の現役世代の薬剤費の自己負担も、実質5割負担となる。昨年末の大臣折衝事項において、2027年以降も対象範囲や負担割合を順次拡大していくことが明記されており、今後さらなる負担増が狙われている。
しかも、厚労省や厚労大臣は、法案説明で、現役世代の保険料負担上昇の抑制と医療保険における給付と負担の見直しで世代間や世代内の負担の公平性を確保すると強調した。しかし、この法改定によって現役世代の保険料の削減効果は月額わずか33円~183円程度(ペットボトル1本分)、改定法全体でも、一人あたり年間2200円程度の保険料軽減にしかならない。
新設される「一部保険外療養」の条文(63条2項6号)上は、薬剤にとどまらず、診察、処置、入院、手術など、医療行為全般にわたって保険給付から除外できるよう拡大されかねない。国会審議の過程で厚労省保険局長は、当初「(法案の)文言だけで解釈すれば、薬剤に限定されない」と答弁したものの、野党の追及によって、採決前日の5月28日、立法目的、立法事実、附則の検討規定をふまえ、法第63条第2項第6号の「その他の療養」は「法第63条第1項第2号に規定する薬剤のみを対象としたものと解釈」していると答弁した。しかし、条文上、療養全般に保険外しを拡大できる不備や立法事実の欠如が指摘されたにもかかわらず、高市首相は法案の条文を「見直す考えはない」と開き直ったまま、法案修正なくそのまま採決を強行した。
国会論戦によって「薬剤限定」という政府解釈を勝ち取り、一定の歯止めをかけたものの、条文そのものの修正は拒否されたため、将来的に拡大解釈される法的な危うさが残されたままである。しかも薬剤費の「一部保険外療養」創設自体、「必要かつ適切な医療は基本的に保険診療により確保する」という国民皆保険の理念を根底から覆す、重大な改悪である。
高額療養費の制度見直しについても、2026年8月から段階的な患者負担増が決まっており、がんや難病、慢性疾患などで長期間の治療・通院が必要な患者の家計を直撃し、生活を困窮させ、治療継続を断念させかねない重大な問題である。しかし厚労省の専門委員会では、長期療養者の収入変動や教育費といった家計への具体的な影響が検討されていなかったことが明らかになった。このようなことは断じて許されない。
お金のあるなしで受けられる医療に格差が生まれ、患者が治療を中断したり病院受診を控えたりすることがあってはならない。全日本民医連は、国民のいのちと健康、生活が脅かされる改定健康保険法の可決・成立に強く抗議する。こうした医療制度の改悪を許さない国民世論をさらに大きく広げ、国民皆保険制度を破壊する同法の撤回・廃止を求める。
以上
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