副作用モニター情報〈389〉 市販薬「バファリンA」によるアナフィラキシーショック
「バファリンA」は、アセチルサリチル酸330mg、合成ヒドロタルサイト100mgを含有する一般用医薬品(OTC医薬品)です。薬事法でのリ スク区分では、第2類医薬品のなかでも注意が必要な「指定第2類医薬品」に分類されています。今回同薬剤によるアナフィラキシー疑いの症例が報告されまし た。OTC医薬品といえども重篤な副作用が起こりうるという点で、あらためて注意喚起が必要です。
症例)20代女性、花粉症、「バファリンA」服用歴あり。併用薬:花粉症 薬(OTC医薬品)。 頭痛にて「バファリンA」1錠服用。1時間後、眼瞼浮腫出現し増悪。3時間後、呼吸困難、手の痒み等出現し救急受診。体温:37.1度、血圧:99/57、脈拍:75、SPO2:99%、好酸球:9.70%、IgE:410、アナフィラキシー疑いで入院。ボスミン筋注、ポ ララミン、ソルメルコート、ザンタック点滴静注、ネオマレルミン、プレドニゾロン、ラデン処方。6時間後、眼瞼浮腫がやや残るも軽快、四肢の発赤消失。3日後に症状はほぼ改善し、退院となる。
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服用1時間後より息苦しさ・手の痒み・眼瞼浮腫・血圧低下・好酸球・IgE上昇がみられ、アナフィラキシーが疑われた症例です。メーカーの負担で、添加 剤を含む全成分に対してDLSTが実施されましたが、結果はすべて陰性でした。ただし、ショック後2週間程度の反応の不応期があることや、DLST試験の 信頼性はアセチルサリチル酸の陽性率が40%程度と乏しいことから、その可能性は否定できません。
薬剤によるアナフィラキシーショックの発症機序は、主として即時型(I型)アレルギー反応で、以前に使用したことのある医薬品の再投与時に発現します (ただしタキサン系の抗がん剤などでは初回投与でも報告されているので注意が必要です)。また、患者側のリスク因子として、他の医薬品でのアレルギー反応 の既往歴、食物アレルギーやアレルギー疾患、疲労などが挙げられています。
本症例は、花粉症(アレルギー疾患)があり、疲れやすく体調不良が続いていたという背景がありました。今後、患者へのアセチルサリチル酸を含む製剤の使用は避けるべきであり、他のNSAIDSの使用の際にも十分な注意が必要です。
なお、一般用医薬品でも副作用被害救済制度の利用は可能です。
(民医連新聞 第1543号 2013年3月4日)
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