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民医連新聞

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副作用モニター情報〈523〉 DOACと抗血小板剤の併用による消化管出血について

 抗凝固剤(DOAC)の出血性副作用は以前にも報告していますが、抗血小板剤との併用による消化管出血についてあらためて報告します。
症例) 80代男性。ラクナ梗塞の既往でアスピリンを継続していたが、脳梗塞で入院。発作性心房細動でワーファリンを服用していたが中断していたため、アピキサバン(エリキュース®)開始。ラクナ梗塞の再発予防で、アスピリンをクロピドグレルに変更。アピキサバンとクロピドグレル併用2年半後、貧血で入院。Hb6.1。輸血し、入院6日目にはHb7.0に改善。貧血はクロピドグレルとアピキサバンの併用による消化管出血が原因と考えられた。ラベプラゾールも併用していたが、胃血管拡張からの出血が見られた症例。アピキサバンは継続し、クロピドグレル中止。その後消化管出血なし。
 DOACはワルファリンカリウムより脳出血の合併症は少ないのですが、消化管出血リスクが高いといわれています。特に抗血小板薬との併用では消化管出血に十分な注意管理が必要です。今までの副作用モニター報告では、DOACによる消化管出血10例のうち、DOACと抗血小板薬の併用が4例ありました。
 European Heart Rhythm Association(EHRA)が発表した心房細動患者に対する抗凝固薬DOAC使用ガイドラインでは、プロトンポンプ阻害薬(PPI)の併用を推奨、胃潰瘍の既往のある人や、抗血小板剤併用の場合は特に推奨しています。
 PPIやH2ブロッカーの投与によってタビガドランによる上部消化管出血のリスク軽減が報告されていますが、抗凝固薬に関連する消化管出血の30~50%は下部消化管出血で、抗潰瘍薬による下部消化管出血の予防効果は証明されていません。PPIやH2ブロッカーにはDOACによる消化管障害に対する予防的投与の保険適応はありません。今までの副作用モニター報告では、DOACによる消化管出血10例の報告のうち、PPI併用2例、H2ブロッカー併用1例でした。
 DOACと抗血小板剤を併用する場合は、PPI投与時でも消化管出血に注意が必要です。

(民医連新聞 第1698号 2019年8月19日)

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