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民医連新聞

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副作用モニター情報〈534〉 抗血小板薬クロピドグレル・ベラプロストによる無顆粒球症

 抗血小板薬クロピドグレル・ベラプロストによる「無顆粒球症」の報告が寄せられました。
症例)80代女性。クロピドグレル75mg/日開始(経皮的血管形成術後、下肢動脈閉塞予防)。白血球7100・好中球5980。
開始6日目:アルプロスタジル注からベラプロストへ変更。
開始12日目:白血球900・好中球160、ベラプロスト中止、G-CSF投与開始。
開始13日目:白血球700・好中球10、クロピドグレルによる無顆粒球症が疑われたためクロピドグレル中止。
中止2日目:白血球600・好中球0。
中止5日目:白血球5400・好中球2480、血球数回復。

* * *

 無顆粒球症は、末梢血液中の好中球数が500/μℓ以下になった状態と定義されており、本症例は無顆粒球症の典型例と考えられます。原因としては薬剤性が多く、抗甲状腺薬、抗血小板薬、潰瘍性大腸炎治療薬、抗菌薬、向精神薬など多岐にわたります。
 発生機序は大きく2つ(免疫学的機序・中毒性機序)に分けられます。また、原因となる医薬品服用後から無顆粒球症発症までの期間は、発生機序で異なり、免疫学的機序では1週間~10日、中毒性機序では数週間~数カ月とされており、投与開始数カ月は注意が必要です。
 なお、本症例被疑薬であるクロピドグレルによる無顆粒球症はPMDAに過去5年間で22件(ベラプロスト0件)の報告があります。好発時期について、クロピドグレルに関しては明確ではありませんが、類薬のチクロピジンでは投与後3カ月以内、特に投与後3~4週以内のことが多いとされています。投与開始後2カ月間は2週間に1回程度の血液検査の実施が原則で、クロピドグレルも同様の検査を考慮するとされています。
 当副作用モニターには、クロピドグレルによる白血球減少症、血小板減少、再生不良性貧血といった血液障害の副作用が報告されており注意が必要です。

(民医連新聞 第1713号 2020年4月6日)

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