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民医連新聞

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副作用モニター情報〈574〉 アトルバスタチンによるうつ症状

症例)50代男性
 血清LDLコレステロール値196mg/dL(基準値140mg/dL未満。以下LDL値)のためアトルバスタチン5mg開始。
服用3日目:全身の筋肉痛と倦怠感あり。かゆみ、うつ症状、不眠あり。2日休薬すると症状はなくなり、再開すると同じ症状が出現。
服用21日後:継続指示にて3日おきに服用でかゆみは改善するも、倦怠感、うつ症状は残る。LDL値131mg/dL。
服用42日後:アトルバスタチン中止、プラバスタチン5mg/日の服用に変更。
変更7日後:倦怠感、うつ症状も改善。
変更35日後:LDL値163mg/dL。

* * *

 血中コレステロールが低いと虚血性心疾患による死亡率は下がるものの、低過ぎると全死亡率は増えることが知られています。また、東京都老人総合研究所の調査で、コレステロール、LDLコレステロールが低い人は、うつ状態になりやすいことがわかってきています。
 LDLコレステロールは、LDL受容体を介して血液中から細胞内に取り込まれますが、同時に薬物などを運搬する役割も担っています。精神の安定に関与するセロトニンもその一つです。セロトニンの運搬役であるLDLコレステロールが少なくなると、細胞内に取り込まれるセロトニンが減ることになります。細胞中のセロトニンが不足すると、細胞膜に存在するセロトニン受容体は機能低下をきたすため、神経細胞の働きが低下し、うつ症状を引き起こすと推測されます。
 また、コレステロールを原料につくられるホルモンとして、ステロイドがあります。そのひとつであるコルチゾールは、ストレスに対抗する役割を持ち、やる気や元気をもたらすホルモンです。コルチゾールが減ると、気力がなくなり、疲れやすくなります。
 この症例は、急激にLDL値が減少したことで、これらの要因が複合的に関与して起きた可能性があると考えました。
(全日本民医連医薬品評価作業委員会)

(民医連新聞 第1761号 2022年6月6日)

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