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民医連新聞

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副作用モニター情報〈611〉 プラリア皮下注による低カルシウム血症

 プラリア皮下注(デノスマブ)は6カ月に1回の投与でビスフォスフォネート製剤と同等の効果が得られる骨粗しょう症治療薬として、外来診療を中心に使用されています。
 低カルシウム(Ca)血症の予防のため、CaとビタミンDの補充、および定期的な採血による血清Ca値の確認が推奨されています。また、重度の腎障害患者は、低Ca血症の発症リスクが高く、慎重投与となっています。
 今回は、プラリア皮下注で治療中に難治性の低Ca血症を発症した症例を紹介します。

症例)70代女性。
 体重27kg、身長150cmでBMIは12.0。血清クレアチニン値:0.87。プラリア皮下注を6カ月ごとに投与されている。デノタス錠併用中。往診管理へ移行後9回目のプラリア皮下注実施後に、がん治療目的で入院。小腸切除により残存する腸管は2cm程度となった。退院6カ月後の10回目のプラリア皮下注投与後15日目の採血にて、補正血清Ca値5.9mmol/Lと低Ca血症が発覚。デノタス配合錠を増量するも改善せず、プラリア投与21日目に入院。補正血清Ca値5.7mmol/L、低マグネシウム(Mg)血症も出現。カルチコール注、マグネゾール注を開始。血清Ca値、Mg値ともに一定の改善見られたが、低値が持続した。最終的に投与50日目に低Ca血症は改善した。

* * *

 この症例は、低体重のため、潜在的に腎機能が低下していた可能性があること、副作用発現前の血清Ca値は不明ですが、術後に短腸状態となったことで消化管からのCa吸収量が低下したことが影響したとの考察のもと、経静脈的にCaを補充したにもかかわらず、回復まで約2カ月の治療期間を要しました。このことから、いったん低Ca血症に陥ると、作用時間の長いプラリア皮下注の効果により、血清Ca値はなかなか改善しないことがうかがえます。
 骨粗しょう症治療薬は多くの薬剤・剤型があるため、患者の状態に応じて使い分けすることが可能です。安全かつ有効な薬物治療を行えるよう、治療の節目では薬物治療を見直してみましょう。
(全日本民医連医薬品評価作業委員会)

(民医連新聞 第1800号 2024年2月19日号)

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