• メールロゴ
  • Xロゴ
  • フェイスブックロゴ
  • 動画ロゴ
  • TikTokロゴ

民医連新聞

民医連新聞

診察室から 心温まる医療現場を未来へつなぐために

 私は、医師13年目ですが、3年前、2人目の子どもを授かったのを契機に、心臓血管外科から内科医に転向し、川久保病院へ転職しました。職員が優しく、笑顔あふれる病院だと感じ、とても新鮮なカルチャーショックを受けました。子どもの発熱などで急に休まなくてはならない時も、私の体調まで心配してくれる温かい職場です。そうした環境のためか子だくさんな人が多く、子育ての悩み相談まで聞いてくれます。
 しかし、病床稼働率90%以上の当院でも、昨今は経営難に直面。職員もさまざまな理由で不足し、土曜診療縮小や病床数削減などで対応せざるを得ない状況です。
 より良い医療は、多職種連携がうまくいくことで初めて実現できます。医師が病態改善し一見退院と思っても、喀痰(かくたん)吸引や介助量、排泄(はいせつ)状況などを総合的に分析し、退院先で生活可能かを考えなければ、本当の意味での退院とはなりません。そこに潜む問題を解決できた分だけ、本人も家族も納得し、無理のない退院ができます。退院後の生活を見据えた多角的視点は、豊かな経験と患者をケアする第一線から生まれるものと、感銘を覚え、何度も救われました。
 ただ、職員一人ひとりにも家庭があります。わが子の発熱を心配しながら、患者の対応が良かったか気になることもあるでしょう。わが子が朝登校できたか心配しながら、夜勤明けに帰ることも、時には疲労困憊(こんぱい)で愛しい家族にとってしまった態度に後悔することもあるでしょう。さまざまなことを抱えながらも、笑顔で勤務できる職場であってほしいと切に願います。多様な勤務体系を受け入れることで、時代に取り残されない組織となるべきだと思います。
 私には、今密かに抱く夢があります。全国区である民医連で、全国どこでも安心して働けるような仕組みができれば。働きたい時に働ける人が応募できれば、手当や休みを確保し、もう少し余裕をもった働き方が実現し、優しいケアと笑顔輝く、明るい職場を維持できるのではないかと思います。
田林侑花、岩手・川久保病院

(民医連新聞 第1826号 2025年4月7日号)

  • 記事関連ワード