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民医連新聞

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医学生との対話から生まれた『80/80 Eighty/Eighty』まず医師と職員が学び当事者の声を国会へ 山田秀樹副会長に聞く

 全日本民医連は、2月に80/80パンフ「まやかしの『医師偏在』~医師不足の解消を~」を作成しました。パンフについて、全日本民医連副会長で医師部部長の山田秀樹さんに聞きました。
(長野典右記者)

パンフを作成したきっかけは

 この間、全日本民医連は医師増員に向け、医師・医学生の署名を推進してきました。そして署名をひろげるためには医学生とかかわる医学生担当者の力を大きく発揮する必要がありました。
 しかし、第2回評議員会方針でも触れたように、コロナ禍を経て医学対活動が困難に直面するなかで、医学生との対話がひろがらない現状と、署名を医学生に呼びかけた担当者からは、医学生から出される疑問に上手に答えられないとの声も寄せられました。
 そこで医学生との対話のなかで出された質問に答えるようにパンフレットを作成し、ひろく普及することにしました。

「80/80」の意味は

 2024年4月に医師の働き方改革がスタートしましたが、時間外労働の上限は最低水準でも、過労死水準の年間960時間(月80時間)に設定されました。しかし、それでも上限を超えるため、国は、見かけ上の時間外労働削減のために労基署の許可があれば労働時間と見なさなくてよい「名ばかり宿日直」の推進や、「自己研鑽(けんさん)の拡大解釈」をはかっています。
 また、2022年までの10年で、医師が4万人増加したことをもって、総数の確保から適切な配置へとシフトする偏在対策を強調し、医学部定員削減へ舵(かじ)を切ろうとしています。この偏在対策のなかでは、診療所医師の引退の前提が80歳に仮定されています。
 「月80時間の時間外労働」と「引退の前提が80歳」の原因は絶対的な医師不足です。「80/80」は、将来医師が余ると政府が主張する背景に、2つの「80」がある矛盾を強調しました。

パンフの内容はどのようにしてつくりましたか。

 全国の医学生の声を集めて質問を8つに絞りました。回答は医師増員を求める署名推進本部の事務担当者が分担してつくりました。質問と回答は重複のないように、全体を署名推進本部と医師部で議論しました。図表なども入れ、左に質問と回答、右に解説として、見やすく見開きとしました。

パンフの普及や活用などについて教えてください。

 まずは医学生に接する職員はもちろんのこと、医師や職員が学習し、偏在対策の問題と絶対的医師不足の現状を認識すること、医学生との対話をひろげることです。地域の開業医や基幹病院の勤務医にこのパンフを直接郵送して、運動がひろがっています。共同組織や国民にも知ってもらいたい内容です。このため全日本民医連のホームページにも掲載しました。
 医師・医学生署名は3月末に締め切り、5月に提出行動を予定しています。パンフにはQRコードで、政府や国会議員へ、医師、医学生の声を国会に届けるためのアンケートの協力を呼びかけています。
 パンフを普及活用し、今国会に当事者である医師・医学生の声を届けるためにぜひ協力をお願いします。先日の厚労省との懇談でも当事者の声を聞きたいとのことでした。現場の声こそが政治を変える力になります。

(民医連新聞 第1827号 2025年4月21日号)

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