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民医連新聞

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非正規公務労働者の誇りと怒り ③業務委託や指定管理者のもと 文/近藤敬彦

 2024年に、最低賃金の引き上げや人事院勧告によって、公務職場で働く会計年度任用職員の賃金が改善され、全国の約55%の自治体で賃金が引き上げられました。
 しかし、さらに深刻なのは、業務委託や指定管理者のもとで働く労働者の処遇です。1980年代、公務員定数削減による人員不足を補い、人件費を抑制するため、民間活力を導入した財団法人や事業団などの外郭団体が多数設立され、公的業務を請け負いました。しかし現在は、指定管理者制度により、株式会社やNPO法人などの民間団体に請負がひろがり、自治体が人件費や処遇に直接関与しない構造がすすんでいます。結果、同じ公共の仕事を担うにもかかわらず、賃上げや4月遡及が行われない、また、完全に公務員の給与体系とは違う企業独自の賃金ケースが多発しています。
 指定管理者制度は、契約した予算内でしか運営できないため賃上げに消極的になり、また、5年後の指定管理再契約時の増額も厳しい場合もあります。実際に、人事院勧告によって当該の市で4月遡及が行われたにもかかわらず、指定管理者で働く社会福祉協議会の職員には予算が不足することから実施されず、余った予算は市に返還。公共で働いてこの差はいつ改善されるのかと、落胆しました。
 公立病院の人手不足・経営難を理由に、指定管理が推しすすめられることもあります。公立病院で働く職員が分限免職(本人の意に反して退職させる処分)となり、指定管理者への再就職や、離職する職員も多く、地域医療の崩壊も懸念されます。得をするのは指定管理者になる企業。そこで働く労働者・地域住民は置き去りになっています。
 私たちは非正規であっても、公務や公共サービスを担う労働者であり、地域の住民のいのちとくらしを守る大切な仕事をしています。だからこそ、仕事が続く限り雇用が守られ、賃金や処遇が仕事に見合ったものになるよう、自治労連非正規公共評に結集し、賃金・労働条件改善に奮闘しています。


●こんどう・としひこ 非正規公共評副議長、愛媛県新居浜市文化体育振興事業団職員労働組合前議長。

(民医連新聞 第1828号 2025年5月5日号)