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民医連新聞

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副作用モニター情報〈636〉 紅麹を原料に用いた健康食品「コレステヘルプ」による腎障害

 小林製薬が製造した紅麹(べにこうじ)由来の健康食品「紅麹コレステヘルプ」による死者を出した健康被害は記憶に新しいところです。当モニターにも、急性尿細管壊死に至ったFanconi症候群と診断された症例が寄せられました。日本腎臓学会による調査では死亡例はありませんが、企業からは5例の死亡が報告されています。

症例)50代の女性
受診4~5カ月前:健康診断で脂質異常を指摘され、紅麹コレステヘルプ3錠/日で服用開始。腎機能低下なし。他の常用薬、サプリメント服用なし。
受診2~3カ月前:食思不振で普段の半分程度に食事量が減り、倦怠(けんたい)感、口渇、尿の泡立ち出現あり。
受診1日目:報道をきっかけに紅麹コレステヘルプの服用を中止し受診、腎機能低下と蛋白尿が判明。体重は57kg→52kgまで低下。
受診11日目:腎生検で、微小変化糸球体が、近位尿細管急性尿細管壊死が認められ、Fanconi症候群と診断された。
受診34日目:食欲改善、倦怠感軽減。血液検査の結果で腎機能は改善傾向だが、基準値まで戻らず。経過観察となった。

* * *

 日本腎臓学会「紅麹コレステヘルプに関連した腎障害に関する調査研究」アンケート調査と中間報告第2弾に書かれている、初診時の主訴、腎生検での尿細管壊死、腎機能低下は被疑物質の中止だけである程度改善する傾向にある点、が一致していることからも、紅麹コレステヘルプによる障害を強く疑います。
 カビ類がつくり出す物質をもとに開発した医薬品の代表的なものには、抗生物質やコレステロールを下げる「スタチン」と呼ばれる薬物群があります。紅麹は、カビ類が共通してつくり出す「ポリケチド」と呼ばれる化合物群であるテトラサイクリン系抗生物質やマクロライド系抗生物質などの原型を形づくり、加えて、赤色の色素アスタキサンチン、モナコリンK=ロバスタチン(日本では未承認薬)もつくります。
 Goodman&Gilman薬理書をひも解くと、有効期限の過ぎた、あるいは分解した、変質したテトラサイクリン系薬を投与された患者に(Fanconi症候群が)みられる、とあります。この事件は、もしかすると、テトラサイクリン系由来の有害物質ができてしまった結果、引き起こされたのかもしれません。くれぐれも使用期限を過ぎた薬は使わないように。

(全日本民医連医薬品評価作業委員会)

副作用モニター情報履歴一覧

(民医連新聞 第1828号 2025年5月5日号)