能登半島地震被災地からの訴え 石川民医連が厚労省と交渉
石川民医連は4月18日、能登半島地震被災地の医療と介護、生活にかかわる質問と要望5項目を携え、厚労省と交渉しました。全日本民医連副会長で、石川・城北病院の柳沢深志さん(医師)や、輪島、羽咋の両診療所事務長ら7人が参議院議員会館を訪れ、厚労省担当部局の職員計16人に、事例を交えて切実な実態を訴え、認識を問い、対応を迫りました。
石川県は被災地奥能登2市2町の公立4病院の統合・新病院建設の議論をすすめています。民間医療機関の7割超が地震前の体制に戻れないなかの「地域医療の危機」を指摘。医療提供体制縮小の要因には医療従事者の震災による離職と、介護サービスの未稼働に伴う患者減少による経営危機があると、物価高騰対策支援にとどまらない別枠の財政支援を求めましたが、厚労省は応じませんでした。
医療費と介護サービス利用料の一部負担金の免除措置は、9月末までの延長が厚労省から通知されました。しかし、輪島市は「6月末まで」と回答。輪島診療所事務長の上濱幸子さんは、「患者から不安が聞かれるが、安易なことが言えない」と、市や県の消極的な姿勢に憤りを示しました。
避難先にとどまらざるを得ない高齢者が支援制度の狭間で困難に陥っている事例や、生活保護利用者が義援金を収入認定され保護打ち切りとなる事例(輪島市だけで30例超)なども紹介。「自給自足や近所付き合いで助け合ってきた人たちが、地域から切り離され困窮している。みなさん何より、地元に戻りたがっている」と訴え、その条件としての医療・介護の復旧・復興を求めました。交渉には倉林明子参議院議員(共産)と、全日本民医連MMAT委員会委員長で、熊本地震を経験した川上和美さん(看護師)らも同席しました。
(民医連新聞 第1828号 2025年5月5日号)
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