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民医連新聞

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非正規公務労働者の誇りと怒り ④子ども、保護者の願いと信頼を切り捨て 文・写真/齋藤 誠一

 東京都公立学校スクールカウンセラー(以下、SC)は、都に雇用される非正規公務員(会計年度任用職員)です。小中高、養護・特別支援校で子どもや保護者の不安や悩みを受けとめ、子どもが健全に成長するための心理的援助を行ってきました。長い人では20年以上の勤務実績があります。
 ところが都は、SCを含む会計年度任用職員に4回の更新上限を設け、2023年度に上限を迎えた250人のSCを雇い止めにしたのです。子ども、学校、保護者から信頼され、貢献してきたSCがいなくなることで大変な不安がひろがりました。雇い止めにあったSCは収入基盤を失い、生活も困難になりました。
 雇い止めされたSCは、東京公務公共一般労組心理職ユニオンに加入し、都教育委員会との交渉やアンケート調査の記者会見などの社会的発信、議会要請などを行い、「選考で勤務評価は考慮しない」との不当な雇い止めの実態を告発しました。
 とりくみの成果として、雇い止めされた一部の組合員のうち、補欠7人が採用されました。しかし、不合格とされたSCは復職できませんでした。そのため現在、10人のSC(不合格9人、補欠繰り上げ1人)が復職を求め、提訴してたたかっています。
 裁判では、①業務実態から採用継続を打ち切った不合理性、②不採用の違法性、③任用更新のあり方などを争点とし、雇い止めの損害賠償も求めています。 たたかいは、①都の雇い止めの手法のひどさ、②SCという職業の勤労条件、③会計年度任用職員制度などを中心に主張し、5月13日に3回目の期日を迎えました。毎回40人の傍聴席を満席にし、たたかいに連帯してささえています。
 医療・介護などの分野でも、経験によって深められた専門性の大事さは共通すると思います。民医連の職場にいる心理職のみなさんに、このたたかい知らせ、支援の輪をひろげてください。


●さいとう・せいいち 自治労連非正規公共評副議長・公共一般特別中執(前委員長)。

(民医連新聞 第1829号 2025年5月19日号)

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