非正規公務労働者の誇りと怒り ⑤労組と出会った特別支援学校介助員~その1 文・写真/緒方 純子
私は、約10年前に特別支援学校の介助員の労働組合を立ち上げました。当時、仕事の大部分を占めていた「通学バスの添乗」が民間に委託されると決まり、このままでは介助員という仕事がなくなってしまうかもしれないという危機感から、仲間を誘い6人で活動を始めました。
その頃は「介助員という仕事は何か」「どんな仕事をしているのか」を、世間を含め、当局に説明することが活動の大半でした。交渉の場で当局に訴えたこと、それは「とにかく現場を見に来てほしい。自分たちの仕事は障害児の介助と一言では話せない。一人ひとりに寄り添いながら、その特性に合わせて支援している」ということでした。
「他の学校の介助員・支援員というものも知らなければ」と、自治労連や県労連を通じて交流しました。各種集会などへも積極的に参加し、世の中の情勢を理解しようと努めました。
仲間がよく口にする言葉が「できる人が、できることを、できる時にやれば良い。無理はしない!」。それぞれがお互いをフォローし合って、仕事や組合活動をしていたことは、とても誇りに思っています。
2020年度から「会計年度任用職員」という呼び名に代わり、専門性がなくなったような思いが強くなりました。1年後の任用が危ういのではないかとの危機感ばかりが、自治体の非正規職員にひろがっています。
私たちの仕事は、1年単位でできるような仕事ではありません。長年培った業務上の知識と経験に加え、労働組合というツールを手にしていた私たちは、自治体当局に対しても意見を伝えることができました。
しかし、多くの会計年度任用職員にとってはそうではありません。来年度の公募(雇い止めと再公募)をちらつかされたりすれば、さまざまな方向からの「ハラスメントまがいの言動」や「理不尽な扱い」に対し、声をあげられなくなるのはやむを得ないことです。
自治労連が全国的に展開した「3Tアクション」は、こんな背景から生まれ、大きな運動になりました。 (つづく)
●おがた・じゅんこ 兵庫自治労連書記長。自治労連非正規公共評幹事。
(民医連新聞 第1830号 2025年6月2日号)
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