こんなにヤバイ!! 日本の食料事情 (18)なくなりつつある 遺伝子組み換え表示
今、遺伝子組み換え表示義務のある農作物は、大豆、トウモロコシ、ジャガイモ、ナタネ、綿実、アルファルファ、てん菜、パパイア、カラシナとその加工品です。今までの遺伝子組み換え表示は遺伝子組み換え原料の混入が5%超で重量割合が上位3位以内、DNAやたんぱく質が検出可能なものに限られていました。従って食用油やしょうゆなどの多くの食品は表示対象外でした。こうした制度の欠陥のなか、「遺伝子組み換えでない」表示は、消費者が遺伝子組み換え食品を避ける情報として役立っていました。
ところが、2023年4月から、大豆とトウモロコシをはじめ他の農作物についても、任意表示である「遺伝子組み換えでない」表示が認められる条件を「5%以下」から「不検出」(0%=検出限界以下)のときだけとする改悪が行われました。5%以下であっても遺伝子組み換えの混入の可能性があるのに、「遺伝子組み換えでない」という表示をするのは消費者に誤解を与える、というのがその理由です。今では「遺伝子組み換えでない」と表示する食品は激減しています。なかには「分別生産流通管理済み」「IPハンドリング済み」などという「遺伝子組み換え」の文字さえもない表示もあります。「遺伝子組み換えでないものを分別」などの表示もありますが、わかりにくい表示です。
「国産大豆使用なら」と思われるかもしれません。ある豆腐屋さんでは国産大豆しか使っていないにしても、流通業者が国産大豆しか扱っていないところはほとんどありません。実際に日本には、大量の遺伝子組み換え作物が輸入されており、どんなに分別しても微量の混入が起きる可能性があります。
農民連食品分析センターが行った豆腐などの大豆製品の遺伝子組み換え分析では、26製品中11製品は「不検出」でしたが、15製品からは検出されました。検出された混入率は0・17~0・01%で、これまでの制度(5%以下)では「遺伝子組み換えでない」と表示できましたが、今では表示できません。
(1)「分別生産流通管理済み」などのわかりにくい表示を早急に見直す、(2)遺伝子組み換え表示の基準量を0・9%以下にする、(3)食用油やしょうゆなどの遺伝子組み換え表示を義務付ける―ことが求められます。
かつまた まさし農民運動全国連合会の常任委員。新聞「農民」の編集長も務める。
(民医連新聞 第1830号 2025年6月2日号)
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