副作用モニター情報〈638〉 アルコール過敏のある患者へのエタノール含有エアゾール製剤の使用に注意
ぜん息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の吸入治療に用いるエアゾール製剤は、添加剤としてエタノールが含有されているものもあります。
アルコール過敏の人が使用すると、局所的にアレルギーが生じる場合もあり注意が必要です。症例を紹介します。
症例)70代 男性
アルコール過敏あり(正式に診断にまで至っていない)。
使用開始日:ぜん息治療開始。フルティフォーム125エアゾール(エタノール含有)、モンテルカスト、メプチンエアー処方。
開始1カ月後:声がれがあり、うがいは行っている。メプチンエアー使用なし。
この間、声がれが出たり出なかったりをくり返す。
開始4カ月後:医師にアルコール過敏について伝えていないことから、薬局より「エタノールを含まない吸入薬への変更」を情報提供。
開始5カ月後:フルティフォーム→アドエア250エアゾール(エタノール含まない)へ処方変更。その後、声がれの訴えなし。
* * *
アルコール過敏の患者に対し、エタノール含有エアゾール製剤を使用。声がれが疑われた症例です。
フルティフォームの添付文書にはアルコール過敏についての記載はありませんが、患者向け資材には記載があります。添付文書に記載がないため、アルコール過敏の人への調剤をする際、チェックがかかりにくい状況です。
薬剤師が、エアゾール製剤のエタノール含有の有無を把握し、注意して調剤することが必要です。また、初回来局時の問診票などを用いて、アルコール過敏の有無を確認することも重要です。
【参考】
〇エタノール含有エアゾール製剤
オルベスコインヘラー/キュバールエアゾール/メプチンエアー/フルティフォームエアゾール/ミオコールスプレー など
〇エタノールを含まないエアゾール製剤
フルタイドエアゾール/サルタノールインヘラー/アドエアエアゾール/ビベスピエアロスフィア/ビレーズトリエアロスフィア など
(全日本民医連医薬品評価作業委員会)
(民医連新聞 第1830号 2025年6月2日号)
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