非正規公務労働者の誇りと怒り ⑧専門性と責任に見合わない処遇 文・写真/石塚 順子
浜松市関連一般労働組合は1993年、自治労連の「誇りと怒りの大運動」の中で結成。退職金廃止や民間委託など要求交渉を軸に活動を続けています。 組合員Aさんは生活保護利用者を中心とした生活困窮者に対し、職探しの手伝いをする就労支援員。「一般職の会計年度任用職員だから、来客、電話が来たら、必ず正規より早く対応して」と上司に言われました。就労支援員本来の業務がまともにできず、実績も上がらず、公共職業安定所主催の実績評価会議で毎年厳しい指摘を受けます。今年、就労支援員から不満の声があがりましたが、不満の口封じは、年度ごとの更新。5年の任期は絶対的ではありません。
組合員Bさんは通訳職員の日系ブラジル人女性︒浜松市は楽器︑オートバイの製造が盛んで、外国人労働者をひろく受け入れる多文化共生社会がすすんでいます。出稼ぎや浜松で家族をつくるなど市役所ではいろいろな手続きが必要です。区民生活課の通訳職員は証明書発行業務をしながら福祉課など他課の要請で応援に行くなど仕事は膨大です。通訳は専門的スキルと社会的責任を伴い、外国人が安心して暮らせるために不可欠ですが、英検のような資格はないため、一般事務職と同じ給与体系です。処遇改善を求め、組合で要求書を提出。
組合員Cさんは福祉事業所女性相談員です。応募資格は、①社会福祉士、②臨床心理士、③公認心理士、④精神保健福祉士、⑤社会福祉関係の相談業務経験の一つに該当です。しかし給与体系は一般事務職と同じです。当局は業務内容が児童相談所に比べ大きな事案ではないと言いますが、区の相談窓口の責任は大きく虐待、DVなど相談、対応、記録など一人仕事で、保護になった場合、施設への移送が夜になることもあります。公募に集まらない職種で、資格職としての給料体系を要求しています。
労働組合はこれからも仕事に見合う給与や5年ごとの雇止め撤廃、また、職場の小さな矛盾にも声をあげていきます。
●いしづか・じゅんこ 静岡自治労連非正規公共評副議長。浜松市関連一般労働組合書記長。
(民医連新聞 第1833号 2025年7月21日号)
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