最高裁が歴史的判断 生活保護費引き下げ違法 いのちのとりで裁判
2013~2015年にかけて行われた、史上最大10%の生活保護基準引き下げは違法かが争われた「いのちのとりで裁判」で、6月27日、最高裁が「引き下げは違法」と歴史的判断を示しました。
判決は厚生労働省が保護基準引き下げで物価下落率を使った「デフレ調整」は合理性がないと指摘。社会保障審議会の生活保護基準部会の検討をしないで決めた同調整を認めませんでした。厚生労働大臣の判断の過程・手続きは過誤、欠落があり、違法と断罪しました。一方で国に対する損害賠償は棄却しました。
この違法な引き下げは、2008年に起きた世界的金融危機下で吹き荒れた生活保護バッシングに、野党だった自民党が、「生活保護10%引き下げ」を公約に掲げたことに端を発します。2012年に自民党が政権に復帰した政治的背景から、厚生労働大臣が裁量権を違法に行使しました。
判決後、原告団と弁護団は、足の不自由な原告に配慮し、報道陣の前にゆっくりと移動しました。速報で勝訴を知った支援者たちが、原告団と弁護団を拍手で迎える、異例の会見です。
原告の一人、小寺愛子さんは、判決を聞いたときの気持ちを「最高」と本紙の取材に語りました。
原告1027人のうち、すでに232人が判決を前に亡くなりました。厚生労働省は審議会の立ち上げを発表しましたが、生活保護利用者に謝罪しておらず、原告団は厚生労働省に、謝罪・補償・検証と、審議会の設置を撤回するよう求めて3回申し入れています。
(民医連新聞 第1833号 2025年7月21日号)
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