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民医連新聞

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非正規公務労働者の誇りと怒り ⑨みんなで一緒に!~その1 文・写真/石塚 順子

 昨今、インクルーシブル教育が、国の施策としてすすんで行われていますが、それに伴い医療的ケア児童も、地域の学校で教育を受けられるようになってきています。その一翼を担っているのが、看護師と介助員・支援員です。今回は学校で働く看護師の話です。
 西宮市では養護学校で働く看護師と、地域の学校で働く看護師、それらを巡回する看護師がいます。医療的ケア児童が養護学校や地域の学校へ進学し、学校生活を送るために「痰の吸引」「水分の補給」「給食の注入」などを、保護者に代わって行います。いわゆる「医療行為」は介助員や支援員にはできないことであり、看護師は保護者と学校から依頼を受けて、安全安心を第一に、日々がんばっています。ただ問題なのは、そのすべてが「会計年度任用職員」であるということ。そうです。一年で雇用が切れてしまう職員が、そんな大事な職務を担っているのです。
 支援学校では、たくさんの看護師がチームとして子どもの看護にあたりますが、それでも多くの児童生徒に対しての絶対数が足りず、「痰吸引」を求められても、迅速な対応が難しく、待たせてしまうこともあるそうです。給食のペースト食は、慎重に時間をかけて行うため、児童につきっきりになります。コールがあってもすぐに行けない時は、とてもつらいと話します。日々の休憩は満足に取れず、昼食は合間を見てかき込んでいます。体調が悪く目が離せない状況になることもしばしばあり、ドクターが常駐していないので、救急搬送の判断も求められる立場にあります。
 そんな重要な職責を、会計年度任用職員が担っているという事実を伝えるため、劣悪な処遇と環境に耐えながら、仕事を続けていた看護師が、いよいよ立ち上がり、組合へ加入し自分たちの手で「何とか改善しよう」と動き出しました。同じ学校で働く介助員労組に入り、励ましあいながら、子どもたちがより良い学校生活を送るために、協力する決意を固めました。


●おがた・じゅんこ 兵庫自治労連書記長。自治労連非正規公共評幹事。

(民医連新聞 第1834号 2025年8月4日号)

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