• メールロゴ
  • Xロゴ
  • フェイスブックロゴ
  • YouTube
  • TikTok

民医連新聞

民医連新聞

こんなにヤバイ!! 日本の食料事情 (20)トウモロコシの輸入圧力は拒否を

 7月23日、アメリカ、トランプ政権の横暴な脅しと、身勝手な要求に、石破政権が一方的に譲歩しました。世界貿易の歴史で最悪の「合意」が結ばれ、農産物は、アメリカ産米の輸入を直ちに75%拡大し、35万トンから60万トンにすること、大豆やトウモロコシなどの輸入を1兆2000億円分増やすというものです。トウモロコシは、主に家畜の飼料用や、自動車・航空機向けバイオエタノール(バイオ燃料)用としての輸入が想定されています。
 現在、トウモロコシの輸入は年間約1500万トンであり、全体の3分の2がアメリカ、残り3分の1がブラジルからの輸入です。アメリカでは遺伝子組み換えトウモロコシの作付割合が93%、ブラジルは97%であり、日本への遺伝子組み換えトウモロコシの輸入総量は約1400万トン。輸入トウモロコシの9割以上が遺伝子組み換えということになります。
 農民連食品分析センターは2016年に、子どもたちがよく食べるコーンスナック菓子などの原料に、遺伝子組み換え混入検査を実施しました。検査は、スナック菓子17種類と、ホールコーンなどの缶詰、パウチコーン3種類、シリアル2種類、スープ類2種など、計26商品を対象に実施。各加工品の外袋には「遺伝子組み換えでない」と表示されていたにもかかわらず、結果は7商品に遺伝子組み換えを検出しました。
 いま、日本でのトウモロコシの自給率は1%未満であり、多くの遺伝子組み換えトウモロコシが飼料として使われ、私たちの食用にも出回っています。
 農水省は、2024年10月に「飼料用米をめぐる情勢について」という報告書のなかで、「飼料用米だけで(アメリカからの)輸入トウモロコシの全量に匹敵する1100万トンの代替が可能であり、これを実現すれば飼料自給率は13~40%強に高まる」と試算しています。家畜の飼料も輸入トウモロコシに頼らず、飼料用米の増産で対処すれば、食料自給率向上にも大きく貢献できます。
 今後、トランプ大統領からの輸入圧力が強まることが予想されますが、日本は不当な要求をキッパリと拒否し、国民の食の安全をまもるためにも食料自給率向上をめざすべきです。


かつまた まさし 農民運動全国連合会の常任委員。新聞「農民」の編集長も務める。

(民医連新聞 第1834号 2025年8月4日号)

  • 記事関連ワード