副作用モニター情報〈643〉 プラケニル®(ヒドロキシクロロキン)による視野狭窄
クロロキンは、抗炎症作用、免疫調整作用、抗マラリア作用などが認められており、リソソーム内に蓄積することによるpH変化などが作用機序として考えられています。医薬品としての歴史は古く、1955年に米国でマラリアの治療薬として承認されています。その後、腎炎や関節リウマチなど適応を拡大していきました。しかし網膜症などの報告が相次ぎ、1974年に製造中止となっています。
現在、臨床で用いられているプラケニル®は、クロロキンの側鎖にヒドロキシル基が付加されたもので、2015年に皮膚エリテマトーデスと全身性エリテマトーデスの適応症で承認を取得しました。
今回は視野狭窄が報告されていますので紹介します。
症例)30代女性
開始日:全身性エリテマトーデスにてプラケニル錠200mg1錠を服用開始。正常眼圧緑内障にて眼科は定期受診中。
服用1851日目:眼科の定期受診の際に左眼の耳下側感度低下を指摘された。眼圧は右11mmHg、左12mmHg(正常値)であった。内科医師に対しプラケニル減量の指示あり。
同日:内科にて、プラケニルは中止と指示あり。総投与量は約370g。
中止後57日目:「視野狭窄はプラケニルによるもので、中止しても元には戻らない」と聞き取り。
視野狭窄や網膜症などの眼障害は、不可逆的な経過を辿るため、早期発見が大切となります。日常からの副作用の聞き取り、定期的な眼科での検査実施が重要となります。累積投与量が200g以上となっている場合、高齢者を含めて腎機能の障害で排泄能力が低下している場合、肝機能の障害で薬物代謝が遅延する場合、薬物間相互作用により血中濃度が上昇する場合など、様ざまな要因でリスクが増大します。目の異常について常に意識しておくことが肝要です。
(全日本民医連医薬品評価作業委員会)
(民医連新聞 第1835号 2025年8月18日号)
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