非正規公務労働者の誇りと怒り ⑪複数の労働組合で力合わせ待遇改善へ 文・写真/三宅 一生
広島市の施設(療育センター、障害者施設、公民館、図書館、スポーツセンター、動物園など)は、市が出資してつくった公益法人などの外郭団体が、指定管理者制度や市から委託を受けて運営しています。そうした施設で働く職員の労働組合が集まって、広島市関連労組連絡会をつくっています。
それぞれの労組独自の要求は独自に要求書を作成し、雇用主である団体理事者と、交渉を行っていますが、労働組合のない団体、組合加入率の低い団体もあり、個別の交渉だけでは賃金や、労働条件に団体間格差が生まれてしまいます。
そこで、関連労組連絡会で協議した要求項目を「統一要求書」として提出。理事者側は窓口団体となる理事者が中心となって要求書への回答を作成し、全労組と理事者が集まって、夏と秋に「統一交渉」を行っています。
また、組合未加入者も含めた全職員に、その年の重点要求をしめして賛同署名を集め、組合のない団体を含めた全体要求であることをしめして交渉しています。
近年では、正規職員の定年延長実施や、非常勤嘱託職員の賃金改定4月遡及・正規職員と同月数の増額報酬(一時金に相当するもの)を勝ち取りました。
この統一で交渉する活動スタイルは約年続けており、その間に同じ広島自治労連の仲間である広島市職労の尽力もあり、他の自治体では見られない、市担当課と外郭団体の労組が直接交渉する場も設けています。
今年は最も歴史が長い労組が解散したことから、統一交渉の継続が危ぶまれましたが、会議や要請行動を通じて、全ての労組と理事者、市役所の3者とも「統一での交渉」が必要であると考えていることを確認し、今後も継続していくという回答を得ています。
現在は秋の賃金確定交渉に向けて準備をすすめています。公の施設の労組として、市民のためにより良い仕事ができる職場づくりをめざして、これからも奮闘していきたいと思います。
みやけ・いちお 広島市関連労組連絡会、事務局長。
(民医連新聞 第1836号 2025年9月1日号)
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