非正規公務労働者の誇りと怒り ⑫がんばればかなうことがある!~その1 文・写真/緒方 純子
2014年に組合を結成するきっかけとなった「通学バス民営化問題」から年近くがたち、半ばあきらめかけていたころ一筋の光が見えてきました。
それまで交渉のテーブルに出す要求書には絶えず「児童・生徒の安心・安全な学校生活に関して、通学バスの添乗は学校の介助員に戻すこと」を組み込んでいましたが、市当局からの回答は一向に前向きなものは得られませんでした。
それがあるとき、「バス添乗問題について懇談会から始めさせてほしい」との答えがありました。そのときは冷静な顔で「日程はいつごろにしましょうか」と言いつつ、気持ちのなかでは右手こぶしを突き上げて「よっしゃー!」と叫んでいたことは忘れられません。
何回となくいろいろな方向性からシミュレーションを重ね、あれやこれやと可能性を探りながらつくった資料に対して、当局も本気にならざるを得ない状況になったようです。
「教育委員会は金を使いすぎる」ということを言われていたときに、私たちが提案したものは、かなり削減ができる内容でした。組合結成以来、私たちは兵庫自治労連の指導者から奇異とまで言われるほど、賃金の要求は二の次で、職場環境の改善と、離職者を出さない仲間づくりに重きを置いて実現させていたので、職員定着に苦慮していた当局からの信頼も膨らんでいました。
これでトントンと話がすすむはずだったのですが、思わぬ横やりが入り、懇談会が開かれなくなりました。
それは同じ介助員でありながら、古くからあった労働組合の考え方の違いが、当局に二の足を踏ませる事態になったのです。そこの考えは「運転手と介助員を合わせて戻す」というものでした。当初から「バスの保守管理と運転業務は民間に委託」との考えが当局にはあったので、運転業務を視野に入れた提案は、私たちの「介助員を添乗に戻す」要求を白紙に戻すようなものでした。
おがた・じゅんこ 兵庫自治労連書記長。自治労連非正規公共評幹事。
(民医連新聞 第1837号 2025年9月15日号)
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