副作用モニター情報〈646〉 OTC類似薬の副作用(下)
ひきつづき、OTC類似薬の保険外しの問題を取り上げます。
前回、OTC類似薬が決して副作用の少ない安全な薬ばかりではないと報告しました。
今回は、当モニターに上がってきている重篤な副作用の症例を紹介します。
症例1)ロキソプロフェン(OTC類似薬)によるアナフィラキシー
20代女性
歯科治療にて抜歯後、メイアクト®とロキソプロフェン屯用で処方
開始3日目 喘息発作出現
開始4日目 蕁麻疹出現、受診し抗アレルギー薬処方
開始5日目 蕁麻疹悪化のため、メイアクトを疑い中止
(ロキソプロフェンは飲み切っていた)
開始6日目 夜間増悪、嘔気も出現。薬剤によるアナフィラキシー疑いにて入院となる。
DLST検査でメイアクト陰性
症例2)芍薬甘草湯(OTC類似薬)とアトルバスタチンによる低カリウム血症、横紋筋融解症
80代女性
アトルバスタチン10mg服用中
こむらがえりに芍薬甘草湯2g×1追加
30日後 K値2.8mEq/L(低K血症)
90日後 倦怠感の訴えあり
120日後 ひどい筋肉痛
180日後 腕が上がらず救急搬送
K値1.5mEq/L、CK値9127U/L
低K血症、横紋筋融解症の診断にて芍薬甘草湯とアトルバスタチン中止し、KCL注開始
中止10日後 K値、CK値正常値に回復
芍薬甘草湯は1包に甘草2gを含有し他の漢方に比べて多く、低カリウム血症が起こりやすいことが知られています。さらに、低カリウム血症が形質膜の破綻を生じ、筋繊維が壊死し、横紋筋融解症を引き起こします。スタチンとの併用で急速にすすんだ可能性が考えられます。
これらOTC類似医薬品が安全にひろく繁用されているのは、医療機関が有効性と安全性のバランスをとりながら使用しているためです。「安全な薬」との過信は危険です。
(全日本民医連医薬品評価作業委員会)
(民医連新聞 第1838号 2025年10月6日号)
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