今も続く深刻な課題共有 薬害根絶デー民医連学習交流集会
8月26日、薬害問題を学ぶ2025年薬害根絶デー・民医連学習交流集会を東京都内で開催し、全国から薬剤師など65人が参加しました。
最初にサリドマイド薬害の被害当事者の増山ゆかりさんが講演。「薬害は過去の出来事ではなく、今も続く深刻な課題だ」と強調し、自身の体験を通じた被害の実態を語りました。サリドマイドは1950年代後半に鎮静・睡眠薬として販売、妊婦初期に服用した結果、多くの胎児に先天性の手足の奇形や内臓障害をもたらしました。日本では約1000人(死産を含む)が被害を受け、生存した309人が被害認定され、現在も約250人が心臓病や腎不全、難聴など複数の後遺症に苦しんでいます。増山さんは「薬害は外見の障害だけでなく、内臓や神経への影響も深刻で、治療は難しい」と訴え、国による包括的な医療支援体制の整備を求めました。
また、全日本民医連薬剤委員会委員長の野口陽一さんが、薬が「患者の健康を守るための価値と、製薬会社の経済的価値の二面性を持つこと」にあらためて触れ、薬に、利益追求が優先されることで薬害が繰り返されてきたこと、国の対応の遅れや情報公開不足も被害を拡大させてきたことなど、副反応以外の社会経済的な背景に目を向けることを訴えました。
午後からは厚労省の玄関付近に設置された「誓いの碑」の前での厚生労働大臣への要請、つづいて薬害根絶デー実行委員会主催の集会が開かれ、新型コロナワクチンやHPVワクチンの接種後どのような健康被害に苦しんでいるか、健康被害に加えて、学校や医療機関で受けた偏見や無理解による被害、国による被害救済、治療法の研究開発などをリレートークで訴えました。(全日本民医連医療部 我那覇且敏)
(民医連新聞 第1838号 2025年10月6日号)
- 記事関連ワード
- 副作用
