こんなにヤバい!!日本の食糧事情 (23)輸入米から残留農薬
米の高値と不足が続き、アメリカ産や台湾産などの輸入米がスーパーなどで並ぶ機会が増えています。
農民連食品分析センターは、増える輸入米の安全性に目を向け、輸入米の鮮度と残留農薬検査を実施しました。調査対象は、アメリカと国産のブレンド米1件、アメリカ産1件、ベトナム産2件、台湾産1件です。鮮度調査を見ると、おおむねどれも良好でしたが、ベトナム産は2件とも鮮度が低下する傾向がありました。
残留農薬調査では、ベトナム、台湾産から農薬が検出されました(表)。日本の残留基準と比較すると、基準値以内に収まっていましたが、問題なのは、ピリミホスメチル(殺虫剤)、テブコナゾール(殺虫剤)の2つがベトナム産、台湾産から検出されていることです。日本ではピリミホスメチルは農薬としての登録が失効し、製造・販売ができない成分です。さらに、日本では認められていないポストハーベスト(収穫後)農薬でもあります。アメリカなど一部の国では長距離・長時間の輸送・貯蔵の際に、防カビ、防腐、殺虫防除など食品の品質維持のために、農作物への農薬の収穫後散布が認められています。テブコナゾールは米への使用が認められていません。検出された輸入米は、国産米とは異なる基準で栽培、流通された米であるのは明らかです。しかし、自民党政権は、日米貿易合意によって、アメリカ産米を現在よりさらに75%増やそうとしています。これまでアメリカ産米はMA(ミニマムアクセス)枠77万トンのうち、毎年約35万トンが輸入されており、75%増になれば25万トン増に相当し、アメリカ米の輸入量は60万トンにもおよぶことになります。「MA米を備蓄に使え」という今年5月の財政制度等審議会(財政審)の提言で浮上してきたのが、棚上げ備蓄(※)を改め、1~2年で販売する回転備蓄方式に回帰し、MA米を低価格米として販売するという策略です。
米不足・価格高騰を生み出し、アメリカ産米の国内市場での定着をめざしているのが現在の自民党政権です。不適切な輸入米が国内に入らぬよう、今後も監視の目を光らせる必要があります。
※主食用として販売しないこと

かつまた まさし 農民運動全国連合会の常任委員。新聞「農民」の編集長も務める。
(民医連新聞 第1840号 2025年11月3日号)
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