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民医連新聞

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副作用モニター情報〈648〉 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)による大腸炎

 免疫のシステムは、免疫抑制させるブレーキの機能があり、自身の細胞や組織への過剰な免疫反応を抑制しています。この機能を阻害してがん細胞を攻撃する薬のことを免疫チェックポイント阻害薬(ICI)と言います。
 ICIは、2014年にニボルマブ(オプジーボ)が承認されて以降次々と開発されてきました。また、様ざまながん種で臨床試験が行われ、適応症も拡大され、がん治療が大きく変化してきました。
 今回、ICIのキイトルーダによって、免疫関連有害事象(irAE)のひとつである大腸炎が報告されていますので紹介します。

症例)70代男性
 腎盂がんの2次治療としてキイトルーダが開始。
 2クール目を施行後18日目の外来受診にて、4日前から水様便(1-2回/日、増悪時は4回/日)持続の訴えがあり、ミヤBMが処方となる。
 その後も水様便4~5回/日まで増悪し、タンニン酸アルブミンが追加となる。
 3クール目施行予定で入院となるが、ブリストルスケール7程度の排便が4~5回/日持続しており、キイトルーダ投与は中止。
 大腸内視鏡検査を実施したところ、全大腸に軽度な非連続性の潰瘍性大腸炎様所見が見られ、irAE大腸炎と判断された。

 ICIによるirAEは、どんな症状がいつ発現するか予測することができません。一方で消化管はirAEの好発臓器であり、なかでも大腸炎は頻度が高いものです。腸穿孔による死亡例なども報告されていることからも、早期発見・治療が重要となります。今回の症例では外来受診の際に訴えがあったことからも、病院だけではなく調剤薬局においても日頃から意識して聞き取りをする必要があると考えます。

 (全日本民医連医薬品評価作業委員会)

副作用モニター情報履歴一覧

(民医連新聞 第1840号 2025年11月3日号)