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民医連新聞

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副作用モニター情報〈649〉 フェブキソスタットとロスバスタチンの併用に注意

 尿酸の生成を抑えるフェブキソスタットは、BCRP(尿酸や特定の薬剤を胆汁や尿へと排泄するトランスポーター)を阻害することが知られています。

 コレステロール低下剤のロスバスタチンは、スタチン系薬剤の中では早くからBCRP阻害による影響が示されている薬剤です。今回は、添付文書で併用注意とされているフェブキソスタットとロスバスタチンとの併用(※1)で、ロスバスタチンの血中濃度が上昇し、副作用が起きた可能性のある症例を紹介します。

症例)40代男性
脂質異常症でロスバスタチンを継続中。
開始日:痛風の疑いでフェブキソスタット10mg開始
開始3カ月後:尿酸値7.2のためフェブキソスタット10→20mgへ増量
開始5カ月後:筋症状とCK値627に上昇でフェブキソスタットを10mgへ減量
開始6カ月:筋症状改善、CK値238へ

 ロスバスタチンの重篤な副作用として、横紋筋融解症があり、CK値の上昇を伴います。
 薬物動態試験の結果、フェブキソスタットとの併用により、ロスバスタチンの血中濃度が最大でCmax(※2)2.1倍、AUC1.9倍に上昇したことが報告されています。
 これは、フェブキソスタットによるBCRP阻害でロスバスタチンの排泄遅延が起こり、ロスバスタチンの血中濃度が上昇したために起こったと考えられます。
 「生活習慣病」に用いられるフェブキソスタットとロスバスタチンは臨床現場で併用される可能性が高く、注意が必要です。併用しているケースはロスバスタチンによる副作用に対する継続的なフォローが必要でしょう。

※1 2022年8月にロスバスタチンの添付文書改訂が行われています。
※2 Cmax 薬物最高血中濃度、AUC薬物血中濃度時間曲線下面積 いずれも薬の効き目を表す指標となる。

(全日本民医連医薬品評価作業委員会)

副作用モニター情報履歴一覧

(民医連新聞 第1841号 2025年11月17日号)