経営困難打破へ 緊急行動提起 共同が全国で拡大
全日本民医連は、6月20日に「民医連の事業と経営をまもり抜き地域医療の崩壊をなんとしてもくい止めるための緊急行動提起~このピンチをチャンスとしていかし、かつてない運動の前進で展望を切りひらこう」を決定。提起から約5カ月が経過し、10月末現在、署名は約33万筆に達しました。各地から寄せられたとりくみを紹介します。
(髙瀬佐之・松本宣行記者)
北海道 他団体との共闘と地元紙投書で世論喚起
北海道民医連は、経営アンケートで協力を得た道内の医療機関・医師に署名用紙とポスターを郵送し、続々と返信されています。
北海道看護協会との懇談では、署名の協力を求めると、同協会会長の高橋久美子さんが「経営はどこも同じ状況。病院の努力では解決できない。診療報酬の期中改定は、一致団結して声をあげていく必要がある」と話しました。
また、世論喚起に新聞への投書を呼びかけています。地元紙に「突然、病院なくさぬために」と「最賃上げ 医療機関に重荷」の2本が投書欄に掲載されました。
石川 党派を超え県・市議会で「意見書」全会一致採択
石川県議会は9月30日に「地域医療提供体制の維持・確保のための診療報酬改定等を求める意見書」を全会一致で採択しました。この動きは石川民医連が8月25日に「幅ひろい賛同で意見書が採択されるためにはオール与党県議会正面突破しかない」として、自民党会派県議会議長に直接要請したことが端緒です。議長は病院が危機的状況にある実態を認識していました。議長作成の意見書案が自民党県議団から提案され、会期末を先に迎える、金沢市議会にも波及して意見書採択となりました。
10月1日の「緊急行動全国WEB交流集会」で、石川勤労者医療協会の西村昭郎さん(事務)は「実態の深刻さが党派を超えて認識されていた。そこへ率直に訴えたことがポイントだった」と語りました。
山梨 県医務課と懇談 記者会見で訴え
山梨では9月18日に「地域医療を守る医療機関の事業と経営維持のため、診療報酬の期中改定を求める」山梨県知事宛ての団体署名200筆を県医務課に提出。県医務課との懇談で医療機関の窮状について共有しました。県知事からも全国知事会で危機的状況についての発言があり、地域医療を守るために、同課と協力を確認しました。懇談後は記者クラブで記者会見を実施して、危機的状況を訴え、当日にNHKニュースで報道されました。
議会への請願活動は身延町の採択に続き、甲府市議会も採択。紹介議員の1人は元職員の木内直子さんです。10月16日、共同組織の橋渡しで、山梨民医連は富士川町議会の議長と2人の議員と懇談。請願に協力してくれることになり、助言をもらいました。
大阪 医学生・高校生と対話 患者一人ひとりに訴え
大阪民医連は、7月9日に大阪保険医協会と懇談し、共同を確認。医学生や医師をめざす高校生とも対話をすすめ、医学生に「6~7割の病院経営が赤字。医師の働く場所がなくなり、患者が受診できなくなる」と訴えました。学生は「それは困る」と受け止めてくれました。
耳原鳳クリニックの田端志郎さん(医師)は患者一人ひとりに、国による医療費削減政策で、医療機関が経営危機に陥っていることを説明。署名用紙を手渡して訴えています。
福岡 取り扱い団体に変化 民医連外に広がる
福岡・佐賀民医連は、様ざまな方法で緊急行動をすすめています。8月6日、千鳥橋病院の山本一視さん(医師)が、博多区医師会の組会で署名を訴え、会員が協力を表明。
友の会も独自にとりくみをすすめています。ある取引業者は「署名だけでも協力させてほしい」と会社に戻り、社員に署名を呼びかけてくれました。
特徴的なのは、地域の医療機関が、取扱団体の欄に自院の名称を記載するようになったことです。
診療報酬大幅引き上げへ各地で大きなうねり
10月30日、都内では「地域医療をまもろう! 診療報酬の大幅引き上げを求める大集会」が開催され、全国から医療従事者がつどいました(→記事ページ)。
会場には全国で地域医療を守る医科・歯科の医師たちが白衣で参加。現場の声を紹介しました。診療報酬の大幅引き上げを求める声は民医連外でも大きなうねりを起こしています。この運動をさらにすすめ、国による抜本的な支援と、診療報酬の大幅引き上げを実現しましょう。
(民医連新聞 第1841号 2025年11月17日号)
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