いきるを彩る介護の処遇改善を 長野 介護ウエーブ集会開催
11月11日は「いい介護の日」。長野県民医連は、「11・11介護ウエーブ集会」を長野・松本市で開催し、松本駅前で介護署名活動を行いました。県内9介護事業所から、45人の介護職員が参加しました。当日の様子を紹介します。 (髙瀬佐之記者)
笑顔の署名活動
「署名のご協力をお願いします!」日の暮れはじめた松本駅に介護職員たちの声が響きます。
集めているのは、介護保険制度の抜本改善、大幅な処遇改善を求める請願署名です。長野県民医連のロゴ入りビブスは一段と人目をひきます。マイクを握る職員は、全国で訪問介護事業所が相次いで倒産していること、介護保険制度の改善を訴えます。
介護部長などの管理職員が、積極的に声をかけ、いきいきと活動する様子が。その波がひろがり、職員はみんな笑顔に。笑い声も響きます。
介護研究を発表
午前中は「2025年度取り組んだ介護研究講座発表」です。6人の職員が、半年かけて完成させた研究論文を発表。もともとは県連内で看護といっしょに研究発表を行っていましたが、「介護職員だけでやってみよう」という声があがり、今回初の企画となりました。松本短期大学教授の丸山順子さん、福田明さんが研究指導に加わり、本格的な発表に。
荻原亜希子さん(老健すずかぜ、介護福祉士)は、「病院と介護老人保健施設の環境の相違が利用者に与える影響 ―看取り期のA様が『元気になる』までの過程から考える―」と題した研究を発表。病院から看取り期の状態で老健に入所した利用者の、施設利用過程での変化をまとめました。利用者Aさんは、入所前の病院生活では絶食状態でしたが、入所後には、次第に食事量・離床時間ともに増加。身体機能や発語も向上し、自力摂取やレクリエーション参加が可能に。職員は本人の表情や動作からストレングスを見いだし、いかす支援を実施。病院と介護施設での支援連携の重要さを訴えました。荻原さんは「今回の研究経験が、今後、仕事の自信につながる」とのべ、丸山さんは「『看取り期』と決めつけないチームケアのすばらしい実践。お互いにケアし合い、認め合えるチームを今後もつくってほしい」と話しました。集会に参加した、松下善博さん(特別養護老人ゆいホーム、介護福祉士)は「当県連の介護事業所の活発なとりくみを知り、明日からの実践にいかしたい。全国の介護研究発表などの企画があれば参加したい」と言います。
午後は、中央社会保障推進協議会事務局長の林信悟さんが「この秋、介護の危機を打開し介護保険の抜本的改善に踏み出そう」と題し、学習講演をしました。昨今の政治で行われようとしている、大軍拡・社会保障改悪などに触れ、「戦争に向かうときは必ず社会保障が削られていく」と警鐘を鳴らします。また、この秋、政府がねらっている介護保険制度見直し改悪案を伝え「介護署名で社会を変えよう。全国の仲間と声をあげよう」と力を込めました。
長野県民医連のつよみ
コロナ禍以前は、介護報酬改定のたびに、800人規模の県民集会を開催していました。その集会は、ぶどう狩りなどのお楽しみ企画を組み合わせ、職員だけではなく、共同組織や地域住民も参加していました。そんな活発なとりくみやつながりが、今の県連介護職部会の文化になっています。
県連事務局の高野悠介さん(事務)は、「介護職部会の職員が本当にポジティブで元気。日々奮闘して、利用者にいちばん近いところで働いている職員だからこそ、介護保険制度が悪くなっている現状が許せないのだと思う。管理者たちの思いに引き寄せられて、多くの介護職員が行動に参加している。県連事務局として、職員たちをこれからもささえていきたい」と話します。
長野県民医連の介護部では、管理職と職員とのあいだに組織としての一体感が。今日の活動をささえる力、前向きな波が力強く、確かに、ひろがっています。
(民医連新聞 第1842号 2025年12月1日・15日合併号)
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