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民医連新聞

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副作用モニター情報〈650〉インフルエンザHAワクチンとコミナティ(新型コロナワクチン)によるアナフィラキシーショック

 ワクチンの同時接種がかなり増えてきました。今回、インフルエンザワクチンとコミナティ(R)(SARS‐CoV‐2ワクチン)の同時接種において、アナフィラキシーショックを起こした症例がありました。それぞれ単体でも発現する可能性のある副作用なので、問題点を考えてみます。

症例)80歳代、女性
 定期受診の際に、インフルエンザワクチンとコミナティを同時投与。投与前の血圧は121/75であった。
投与5分後 冷や汗、呼吸苦、気分不快の症状が発現。血圧67/36まで低下。
投与15分後 血圧83/39。→ソルラクト急速静注。アドレナリンを筋注。
投与20分後 収縮期血圧が100台まで上昇。
投与2時間後 冷や汗、呼吸苦、気分不快の症状は改善。→経過観察のため入院となる。
投与3時間後 血圧158/64まで改善。3日後に退院。症状の再燃なし。

 患者はインフルエンザワクチンを2022年と2023年に接種、コミナティは今回で8回目の接種となっていました。2022年、2023年のインフルエンザ株はビクトリア、ダーウィン、プーケット、オーストリア。2024年はビクトリア、カリフォルニア、プーケット、オーストリア。コミナティは2024年秋から1価起源株になっており前回接種までと違いがありました。
 まとめると、今回は、インフルエンザワクチンとコミナティ両方とも以前に接種したものと成分が違いました。主治医にも上記の情報を伝え、被疑薬を1つに絞るのは困難と判断し、副作用の被疑薬剤は2つになっています。
 ワクチン同時接種において副作用が発現した場合、今後どちらを接種してもよいのか、取捨選択が難しくなります。この辺りをどのように解決したらよいのか、現時点では回答がありません。特に今回のように重篤な副作用があった際には、両方の接種を回避するのが消極的安全策と言えるでしょう。

(全日本民医連医薬品評価作業委員会)

副作用モニター情報履歴一覧

(民医連新聞 第1842号 2025年12月1日・15日合併号)