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民医連新聞

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どうなった大阪・関西万博 赤字で税金投入カジノねらう こたえる人 大阪市をよくする会事務局長 中山 直和さん

 4月13日~10月13日までの184日間、大阪・夢洲で開催した大阪・関西万博。期間中に2558万人が来場しました。運営の問題点と今後について、大阪市をよくする会事務局長の中山直和さんが解説します。

■危険な会場「幸運」な結果

 10月13日、万博が閉幕しました。万博協会の数々の不手際や、メタンガスが噴出し続けるなど多くのトラブルが発生しましたが、各国の運営スタッフやボランティアの努力もあり、海外からの来場者からの厳しい意見がある一方で、国内の来場者にはおおむね好感をもたれたようです。また、会期中に台風や集中豪雨が襲来しなかったことが幸いでした。
 しかし、カジノのために会場を人工島・夢洲(廃棄物最終処分場)にしたことによって来場者を次のような危険にさらし、トラブルに巻き込むことになりました。
 (1)爆発濃度のメタンガス発生が開会後も確認され、マンホールの蓋を穴あきに開会後も交換。(2)夢洲は大阪市内より暑く熱中症での救急搬送が続出。(3)渡り鳥の餌だったシオユスリカ(羽虫)が大量発生、レジオネラ菌が検出される。(4)地下鉄が故障し、3万8000人が夢洲に足止め、1万1000人が一夜を明かす。(5)地震発生による津波への注意喚起が到着予想時間の後になる。

■倒産の危機下請け業者

 10カ国以上の海外パビリオン建設に従事した下請け業者への約10億円もの未払いがいまだに解決していません。これも会場を夢洲にしたことがそもそもの原因です。2年前、海外パビリオンの建設がはじまらないことが大問題になっていましたが、夢洲が超軟弱地盤であり工事の困難さから大手・中堅のゼネコンが「やけどする」として受注しなかったのです。吉村知事や万博協会が中小建設業者に繰り返し要請し、意気に感じた事業者が下請けに入り、泊まり込みで必死に工事をすすめ、開会に間に合わせた結果がこれです。倒産の危機に直面し、家族共ども困窮する事態です。
 吉村知事と万博協会には責任があります。また、国家的プロジェクトである万博なのですから国が責任をとって緊急融資などを行うべきです。

■「万博成功」の宣伝の嘘

 吉村知事は、入場料収入(約2200万枚)によって運営費が230~280億円の黒字になるとはしゃいでいます。しかし会場建設費は当初の1・9倍になり2350億円、その3分の2は税金です。また会場警備費(255億円)や、途上国出展支援(240億円)などを運営費から切り離して国費で支出した結果であり、これがなければ赤字に転落です。そもそも一つの事業をやるのに建設費用や警備費を別にして赤字・黒字を言うなんてあり得ず、こんなデタラメな「万博成功」宣伝はありません。もし吉村知事が黒字だと自慢するのなら、前述の工事代金未払いに回すべきでしょう。

■カジノも止めよう!

 万博会場の真横で大型クレーンが林立してカジノの工事が始まっています。吉村知事はもともと万博開幕前にカジノを開業させ、万博の入場者をカジノに誘導すると公言していたのですが、反対運動とコロナ禍の影響で現在の状況になったのです。
 大阪のカジノ計画では、IR(統合型リゾート)の売上の8割をカジノが生み出します。それは日本人のふところをねらったものであり、利用者の2%がギャンブル依存症になるとMGM日本の社長が市議会で証言しています。まさに、人間破壊と家庭崩壊という不幸が儲けの源泉です。
 大阪でのカジノ反対運動は、ギャンブル被害の実態や儲けの4・7倍もマイナスになるという韓国の実例を訴えて反対世論をひろげています。また、大阪市がカジノ用地の賃料を不当に安く貸しているため、松井前市長ら関係者に1044億円の損害賠償と賃貸契約の差止めを求める住民訴訟にとりくんでいます。国との交渉で、この裁判に勝利すれば、国はカジノの「認定を取り消す」と答弁しています。裁判勝利に全力です。

大阪をよくする会

(民医連新聞 第1842号 2025年12月1日・15日合併号)

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