子どもたちとはぐくむ 未来への希望香川・へいわこどもクリニック
香川・へいわこどもクリニック(高松市)では、2カ月に一度、診療所に通う子どもや、地域の子どもたちと野外活動をしています。小豆島を訪問した日を取材しました。(髙瀬佐之記者)
2025年11月23日、祝日の朝8時30分。高松駅横のフェリー乗り場に、職員と子どもたちの姿が見えます。今年4回目となった野外活動。「小豆島 みかん狩りに行こう」と題した今回の企画には35人が参加しました。
同クリニックでは、地域の子どもやその家族が安心して利用できるように、生活困窮家庭の子どもも、様ざまな体験や経験ができるよう企画運営を行っています。昨年の夏は山に登り、一泊二日のキャンプもしました。
活発な活動を全職員でとりくむなか、大きな旗を振るのは所長の中田耕次さん(医師)です。「子どもたちが楽しんでいるとうれしい」と話します。あたたかい人柄の中田さんの周りには自然に「先生、先生」と子どもたちが集まります。クリニックがめざす「子どもたちにとって『ここなら安心できる』と思ってもらえる場所」を確かに感じる瞬間です。
■誰も断らない
今回のみかん狩り企画の参加費は、交通費を含め2000円(小学生)。大きな金額ではないですが、だれもが気軽に参加できる金額ではありません。
子どもの貧困が問題視されている昨今の日本では、低所得家庭の子どもほど、経済的理由からスポーツや文化芸術活動などの体験機会が少なく、体験格差がひろがっています。そんな子どもたちも、いっしょに楽しめるようにと、同クリニックではシングルマザーや、生活困窮家庭の活動参加費を減免する、独自の仕組みがあります。交通費含め、参加に係る費用はすべてクリニックの負担。財源は、職員向けバザーの収益です。また、子どもの自主性や社会性を育む機会にしたいというクリニックの思いから、積極的に「子どもだけの参加」も呼びかけています。
30人の子どもたちと向かう小豆島。行きのフェリーから子どもたちのテンションは最高潮に。初めて参加した小学1年生は「おいしい、楽しい」とみかんをほおばります。いつも参加する小学6年生は緊張しながらのスタートでしたが、みかん狩りでは参加した子どもたちといっしょに楽しんでいる様子が。「でかいみかん採ったー!」「こっちにたくさんある!」農園には子どもたちの大きな声と笑顔があふれます。
みかん狩りのあとは職員お手製のピニャータ(叩き割ってお菓子を出すゲーム)で盛り上がります。これは毎回のお楽しみ企画です。今回のピニャータはみかん狩りに合わせ、みかんのデザイン。中田さんの横で紐を持っているのは、ボランティアで参加した香川医療生協理事の落合貞夫さんです。
■とりくみの原動力
所長の中田さんは毎回の活動に参加しています。「活動の原動力は民医連新聞。全国各地のとりくみを見て、元気をもらい、参考にしている」と話します。初めて参加した、小学4年生は「次も絶対に参加する。大人になったらこのクリニックで働きたい」と笑顔で話します。ボランティアで参加した看護学生は「様ざまな活動をしているのを知って驚いた。全国の民医連の活動も知りたい」と話し、未来につなぐクリニックの希望を感じます。今回の事務局を務めた松浦菜桜さん(事務)は、「子どもにとっては学校と家だけが世界になりがち。クリニックのとりくみが子どもたちにとって、新しい出会いや世界につながれば嬉しい」と話します。
活発な活動の裏にある、職員の努力や思い。小さなクリニックから見える大きな希望が、明日の実践に、全国の民医連職員の力になります。
(民医連新聞 第1843号 2026年1月5日号)
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