看護現場にベトナム技能実習生受け入れ 神奈川・汐田総合病院
無差別・平等で働きやすい職場に
深刻な看護補助者不足の解決策として、神奈川・汐田総合病院では外国人技能実習制度を活用し、2024年7月から外国人材の受け入れを開始しました。育成と安心して働ける職場づくりのとりくみを取材しました。(長野典右記者)
「こんにちは具合はいかがですか」とグエン・ティ・ハーさんは入院患者に笑顔で接します。ハーさんは第2期生。実習をはじめて3カ月がたちました。毎日の仕事は楽しく、富士山や桜など日本の文化にあこがれもあり来日。子どもと夫はベトナムで暮らしています。ハーさんは本国の家族に仕送りするために月3万円程度で生活しています。
これまで技能実習生の受け入れにあたって、同院長の宮澤由美さんをはじめ計6人がベトナムを訪問。宮澤さんは、2023年10月と2025年3月に、それぞれ職員3人と2回ベトナムの現地面接に行き、現地と顔の見える関係をつくってきました。2回目の現地面接でハーさんの自宅にも訪問。「ご両親は当初、ハーさんが技能実習生として日本に行くことに反対。しかしそれでも家族の生活のために日本へ行くことを了承してくれた。おもてなしの昼食を食べているとき、ハーさんの母親が『娘をよろしくお願いします』と涙を流しながら私たちにハーさんを託してくれた」と宮澤さんは語ります。
■日本語習得にむけて
技能実習生は明るくて、素直。笑顔であいさつし、患者に積極的に話しかけている姿も。「力があって、覚えるのが早い」と河合碧さん(看護師)も感心しています。実習1年半となったグエン・ティ・トゥイ・ガーさんも「スタッフや患者のみなさんがやさしくて、楽しく働けている」といいます。
「技能実習生の共通の悩みは日本語」と同院事務次長の渋澤智史さん。ハーさんも「入退院で名前の把握が大変」と。2階病棟看護師長の豊島由衣さんは、「細かい体調の変化をとらえたり、認知症の患者のことばを理解したりするのも大変」と言います。「難しい日本語に『はてなマーク』のような表情が」と。ふりがなをふったり、簡単な単語を使ったり、またジェスチャーで言葉を伝えます。
日本語の学習は勤務日の16時から1時間の語学学習の時間を設けています。学習の時間には職員もサポートに入っています。1期生1人と2期生の4人は日本語能力試験(JLPT)のN3の合格が目標です。
■日本になじむ交流
1期生4人は24年7月に入職。25年1月に2期生1人、同年7月に2期生3人と計8人を受け入れました。今年は新たに3人の3期生の入職を予定しています。
技能実習生には近隣の個室の看護師寮を提供しています。慣れない日本の文化を理解できるように交流会も実施。月1回のレクリエーションには豆まきや新聞紙のかぶとづくり、七夕の飾り付けなど日本ならではの行事や風船バレーなど身体を動かすことも行っています。同院看護部長の三上朋子さんの本家で行ったもちつき大会にも5人の技能実習生が参加するなど職員全体でかかわっています。
「技能実習生のサポートは月に1回、監理団体のベトナム人担当者が面談に来ており、困りごとはいつでも相談できる」と渋澤さん。同院のフェイスブックでは「汐田きらり」のアカウントでベトナム実習生のページも作成し発信しています。他の技能実習生や本国の人も見ていると好評です。
■目標は介護福祉士
「技能実習生のみなさんには病院前の花壇の土壌整備や肥料やりを手伝ってもらった」とよこはま健康友の会新鶴見支部の小川忍さん。ベトナム戦争の時に日本で反戦運動の経験のある小川さんは、技能実習生に日本が連帯したたたかいも紹介。今後は「フレンドリーに交流を深めていきたい」と語ります。
グエン・ティ・トゥイ・ガーさんは夜勤の独り立ちが目標と。将来的には技能実習生たちは日本語能力試験のN3、N2に合格、介護福祉士の資格を取得し、日本で長く働くことをめざしています。介護福祉士の資格取得後は法人の施設内でも働く選択肢も検討しています。
同院のある横浜市鶴見区は市内中区に続いて外国人の多い町で古くから国際交流が活発。小学校には6カ国語での案内があります。宮澤さんは「無差別・平等の文化を追求してきた職場には技能実習生を受け入れる土壌がある。外国人にも働きやすい環境を提供し、グローバルに働ける医療を提供していきたい」と語りました。
(民医連新聞 第1843号 2026年1月5日号)
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