地域でつながる仲間増やしの入り口 誰でもウェルカムの自由な空間
三重・がーこのおうち
みえ医療福祉生活協同組合の地域活動推進課では「地域の居場所づくり」として「がーこのおうち」のとりくみをしています。2025年7月からは、桑名市内の民家を拠点に、月10回以上の活動をしています。今回、毎週水曜日に行われる「フリースペース&ごちゃまぜ空間」を取材しました。(高瀬佐之記者)
大家族のリビング
「こんばんはー! あのお兄ちゃんお姉ちゃん、今日も来るかな!」。がーこのおうちに子どもの大きな声が響きます。「フリースペース&ごちゃまぜ空間」の日はフリースペースの開放日であり、学習支援の日。またプラモデル作成などの趣味を楽しめる日です。17~20時は自由にのんびり過ごせます。
「がーこのおうち」はどんな人でもウェルカムのあたたかい居場所です。めざしているのは、性別や年齢、文化を越えた、多様な価値観が共存する空間。運営担当は、みえ医療福祉生活協同組合の久野浩司さん(地域活動推進課)です。久野さんは「誰にとっても居心地のよい大家族のリビングのような居場所にしたい」と話します。
もともとは、伊賀町診療所の二階の会議室で始めた「居場所づくり」。年々、参加者が増え手狭になっていきました。さらに「居場所」と言えど、そこは診療所の「会議室」。久野さんは自分たちの本当の居場所が欲しいと考え、半年以上かけて空き家を探し、ある組合員と交流するなかで今の物件を見つけました。久野さんが企画する活動や居場所に集う人は次第に増え、2025年4月からの総計は1000人を超えました。久野さんは「人から人へ口コミでひろがっている」と話します。
子どもや親世代と交流
この居場所に遊びに来ている小学3年生の子は「ここに来るといろんな話ができてたのしい」と話します。その子のお母さんは、このとりくみに参加し、3年前から同生協の理事も務める伊藤きへさん。伊藤さんは「これからはミドル世代も輪に入って、地域のつながりをひろげていかないと」と先を見据えます。最近は子ども食堂や、畑を借りた焼き芋企画や、焚き火を囲んで語り合う企画も。地域の子どもや親世代との交流も増え、居場所や、医療生協の活動を知るきっかけにもなっています。
プラモデルづくり班会から活動にかかわり、現在は理事の一人でもある現役で働く藤原祥晶さんは「この時間なら、仕事していても参加できる。やれることは協力していきたい」と話します。ほどなくして、理事の澤田潔志さんも到着。3人で、近況や今後のとりくみなどを話し合う姿が。
出会いがつながりに
気がつけば、中学生や地域の大人も集まり、にぎやかな空間に。勉強をする子、ゲームをする子、おしゃべりに花を咲かせる大人。それぞれが好きな過ごし方をしていて、場の自由さが伝わります。
中学3年生の3人組はカップラーメンを持参し、「これをいっしょに食べるのが楽しみ」「高校生になってもここを拠点に集まれるかな」と話します。そこへ小学生が「ゲームしよう!」と声をかけ、いっしょに遊びだします。その様子は、久野さんが描く「大家族のリビング」そのものです。時間はあっという間に過ぎ、20時に。「また来週ね!」「また来る!」と子どもたちが帰っていきます。ここでの偶然の出会いが、確かなつながりになっている証しです。
居場所を次世代に
伊藤さんは「つながりが弱まりがちな時代だからこそ、どの世代も参加できるような、仲間増やしの入口を大きくひろげ、この居場所を次の世代に引きつぎたい」と語ります。久野さんは「本当は365日、24時間入れる空間にしたいんだけどね」と笑い、「原動力は楽しさ。毎日あかりがともり、困った時にふっと寄れる場所にしたい」と思いを話します。
現在は、津市内でも新しい「居場所づくり」を計画中。医療・福祉・地域が日常的につながっている職場から生まれる実践を、これからもひろげていきます。
(民医連新聞 第1844号 2026年1月19日号)
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