副作用モニター情報〈652〉ST合剤による低Na血症
近年の抗生剤の供給不足はなかなか解消にむかいません。医療現場では、代替え使用を余儀なくされています。また、薬剤耐性対策で、広域抗生剤の使用を制限するとりくみも強めてきています。特に、フルオロキノロン系抗菌薬(レボフロキサシンなど)の使用を制限しているため、ST合剤を尿路感染に使用するケースが増えてきています。
ST合剤は血液障害、ショックなどの重篤な副作用が報告され、他剤が無効または使用できない場合にのみ使用を考慮することと警告が出ています。使用量が減ったため、感受性が高く、供給も安定しています。そこでST合剤が代替え候補になっていますが、使用には細心の注意が必要です。
今回は7日間の服用で低Na血症が遷延した症例を紹介します。
症例)70代女性
内服1日目 膀胱炎の診断にてバクトラミン配合錠(R) 4錠/日 7日分処方
内服7日目 残尿感改善。バクトラミン飲み切り終了。
終了3日目 嘔吐、食思不振、感冒症状の訴えで受診。ドンペリンほか処方。
終了5日目 嘔吐改善せず、低Na血症の診断で入院。血中Na105mEq/L 尿中Na36mEq/L 輸液にて補正開始。
終了7日目 血中Na120mEq/L 上昇傾向、食事による塩分負荷開始
終了13日目 血中Na131mEq/L
終了14日目 嘔気消失、神経症状なし。Na値改善、退院となる。
ST合剤はスルファメトキサゾール、トリメトプリムの合剤で、両薬の併用時には、相乗的な抗菌作用の増大が認められます。健康人では1回の投与で単独の半減期は8時間と7時間ですが、腎機能低下者では28時間と23時間と大幅に延長します。
特に高齢者や腎機能低下者では水分の排泄能が低下し、さらに尿の希釈能が低下するため、低Na血症が遷延しやすくなります。
まずは抗菌薬が必要かどうか、膀胱炎に使用する場合は3日で効果判定を行い、遅発性の副作用を考慮して血液検査を行うなど、注意が必要です。
(全日本民医連医薬品評価作業委員会)
(民医連新聞 第1845号 2026年2月2日号)
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