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民医連新聞

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相談室日誌 連載598 “気になる”を支援の一歩に院内連携でつながった事例

 当院では月1回、「気になる患者カンファレンス」を開催。看護師、事務、病院SWが集まり、通院患者や退院後の患者の継続支援の情報共有と検討を行っています。職員の細かな気づきから、身寄りや困りごとの把握、介護保険の申請、無料低額診療事業、生活保護、成年後見制度などにつながる事例も増えてきました。
 60代後半のAさんも、“気になる”から支援がひろがった一人。他県出身で高校中退後は職を転々とし、両親があいついで他界。遺産で生活していましたが、不眠症をきっかけに生活保護を利用するようになりました。Aさんは、頼れる家族や知人はおらず、現在は高血圧症・膀胱がん術後で2カ月に1回通院しています。
 生活保護と少額の年金でくらしていますが、奇数月まで計画的に残すことが難しく、年に数回「食べるものがない」と来院します。調理はせず、お弁当中心の生活で、クーラーや冷蔵庫もありません。猛暑時には「水やアイスを買いすぎてお金がなくなった」と相談に来ることもありました。
 これまで、フードバンク物資の提供、生活保護担当が現金・現物支給などの対応をしてきました。しかし介護保険は非該当で、困った時に対応する状態が続いていました。支援が一時的で、生活環境や金銭管理の課題の根本的な改善につながらないもどかしさがありました。
 そのようななか、「フードバンク・くらしのなんでも相談会」前のカンファレンスで、「来場してもらい、支援のきっかけにしよう」という提案が出ました。訪問を重ね、案内したところ、「行ってみよか」と自転車で来場。会場では「米が欲しい」「ズボンも」「シーツも破れたまま」と、必要な物資を手にして喜んでいました。「次はいつ? また来たい」と話がひろがり、組合加入の説明にも理解が得られ、本人の出資金で急場をしのぐ方法を試みています。
 地域活動の場に誘うことで、Aさんが少し心を開いてくれたことは大きな気づきでした。制度や支援があっても、人とのつながりがなければ届かない。立ち寄り、他愛ない話ができる場は、孤立した人の支援の入口になります。“気になる”を地域へひろげる実践を積み重ねていきたいと思います。

(民医連新聞 第1846号 2026年2月16日号)