副作用モニター情報〈655〉レキサルティの副作用まとめ
レキサルティ(ブレクスピプラゾール)は、ドパミンD2受容体およびセロトニン5‐HT1A受容体への部分作動作用とセロトニン5‐HT2A受容体への拮抗作用を併せ持つSDAM(セロトニン・ドパミン・アクティビティ・モジュレーター)とされます。既存の統合失調症やうつ病に加え、2024年9月には「アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動」の効能追加が国内で初めて承認され、高齢者への処方機会が増えると考えられます。
当モニターには、2026年1月時点で11症例(患者単位)が報告されており、切り替え当日から開始直後、あるいは増量後10日前後から1カ月以内の発現が目立ちました。内訳は、味覚異常・強い口渇2例、悪心・食欲低下1例、動悸2例(1例はめまい併発)、めまい1例、不眠1例、アカシジアや振戦、歩行困難、薬剤性パーキンソニズムなど錐体外路症状4例、焦燥感1例でした。複数症状を併発する例もあり、併用薬の影響が関与した可能性も示唆されました。
本剤は類薬のアリピプラゾールよりD2受容体への固有活性が低いとされますが、アカシジアや錐体外路症状のリスクは残ります。とくにアカシジアは不安・焦燥・攪乱(アジテーション)として誤認されやすく、誤認のまま増量すると無効どころか増悪し得るという臨床上の落とし穴(Clinical Pitfalls)が古くから指摘されています。導入・増量後の数日~数週間は、落ち着かなさ、表情の固さ、歩き方の変化など非言語的サインも評価が不可欠です。転倒・誤嚥に加え、高齢認知症患者では抗精神病薬投与に伴う死亡リスク増加の海外報告があり、本剤でも国内試験で因果不明ながら死亡例が本剤群のみで報告されています。アルツハイマー型認知症の適応では、電子添文のとおり環境調整などの非薬物療法を優先し、薬物療法は必要性を見極めた上で慎重な開始が求められます。
(全日本民医連医薬品評価作業委員会)
(民医連新聞 第1850号 2026年4月20日号)
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