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民医連新聞

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平和や生活背景考える視点を 新入医師オリエンテーション 新専攻医・後期研修医オリエンテーション

 4月10~11日、全日本民医連は都内で、「新入医師オリエンテーション」と「新専攻医・後期研修医オリエンテーション」を開催しました。
 新入医師が157人、新専攻医・後期研修医は16県連から48人が参加しました。 (髙瀬佐之記者)

■新入医師

 歓迎あいさつは全日本民医連会長の増田剛さん。日本と社会の情勢に触れ「平和やいのち、ケア、人権、多様性など、社会のありかたが鋭く問われています。この時代に生きる医師としてその責任と役割をいっしょに考えていきましょう」と呼びかけました。
 当日は、「医の倫理と戦争」と題し、群星沖縄臨床研修センター長の徳田安春さん(医師)が記念講演。徳田さんは、自身の経験を語り、「医師にとってもっとも重要なことは戦争をさせないこと」という言葉を紹介しました。また、戦時中に医師・医学者が組織的に行った人体実験などの非人道行為の歴史、731部隊について医学部の講義で学べていないことの問題に触れたうえで、歴史的な資料や動画を用いて研修医に史実を伝えました。また、731部隊に関連した多くの医師が戦後も大学学長などを務めたことにふれ、「医師の人命軽視のもとで、戦後に優生保護法が可決した」と話しました。「過去の過ちに学び、いのちを守る医師として、戦争反対の声を小さくても良いから挙げてほしい」徳田さんは、未来を見据える新入医師たちへ呼びかけました。
 その後は先輩医師からのメッセージ。現役3人の医師が、新入医師へ自身の経験や、激励の言葉を伝えます。奈良・土庫病院の太田彩乃さん(専攻医1年)は、「急変して亡くなった患者を目の前に、無力感を感じ、今も忘れられない」と打ち明けます。太田さんは、「迷っていい。誰のための迷いかを忘れないでいてほしい」と伝えました。
 その後は、班ごとでワールドカフェを開催。テーマは「こんな研修がしたい」。研修に期待していること、どんな2年間にしたいか、25の班メンバーが移動しながら対話。班ごとに記入した「研修宣言・到達目標」には「医師と胸を張って言える」「頼られる医師になる」などまっすぐな言葉が。
 参加した新入医師、大杉萌々花さん(大阪・耳原総合病院)は、「医師として平和問題にどうとりくむか、あらためて考えさせられた。同期が全国にこんなにいることに驚き、がんばろうと思えた」と感想をのべました。

■新専攻医・後期研修医

 翌4月11日は、同会場で新専攻医・後期研修医オリエンテーションを開催しました。
 記念講演は栃木・生協ふたば診療所の千嶋巌さん(医師)。千嶋さんは、自身の生い立ちから研修医時代の経験を紹介。医師10年目の時に、夜間救急外来に来た男性の話を紹介しました。当時、貧困や飢餓状況にある患者にむき合い、無力さを感じたといいます。その後、民医連と出会い、SDHの視点や社会的処方について深めてきたこと、現在の診療所でのとりくみを新専攻医師たちへ伝えました。「つらそうな人、困っている人が、もし自分なら。自分の家族や愛する人だったら。その時の『こうしよう』が医師としての正解に近いと思う」と千嶋さんは呼びかけます。参加者から、「医師として、どうしたら患者の困窮をキャッチできるか」と質問が。千嶋さんは「いろんな切り口があるが、一つは問診票。困窮を見つける仕組みをつくり、チームで連携すること」とこたえます。
 先輩医師からは、宮城・坂総合病院の熊谷優大さんが、自分が専攻科を選んだ理由、民医連で学んだことを紹介。「悩みは一人で抱え込まず、周囲とささえ合ってほしい。専門知識だけでなく、生活背景を考える視点を育ててほしい」と呼びかけました。
 班ごとのワールドカフェで「こんな専門医に私はなる!」をお題に交流。「学会で発表したい」「患者の生活背景や地域ニーズを知り、つなげる医師に」など、具体的で力強い目標が。参加した、前田雛乃さん(京都民医連中央病院)は、「医師だけでやれることは少ない。だからこそ多職種で患者とむきあって実践していきたい」と意気込みを語りました。

(民医連新聞 第1851号 2026年5月4日号)