私たちが求めるケア ④介護を提供する側と利用する側の視点の溝 文/志田信也
新型コロナウィルス感染症が蔓延(まんえん)した当時、入所施設や居住系サービス事業所は一斉に面会制限を行い、代替策としてガラス越しの短時間面会やオンライン面会が実施されました。あれから早いもので3年がたち、「5類感染症」への移行や収束後の現在でもなお、面会時間の制限や面会場所の限定が続いているとの話を耳にします。これは決して珍しいことではないようです。
面会は、家族にとってケアが適切に行われているかを確認する貴重な機会でもあります。たとえば、日中もパジャマになっていないか(着替え)、目やにがついていないか(整容)、口に食べかすが残っていないか(口腔ケア)、家族は職員がどこまでしっかりとケアを行っているのかを気にせざるを得ません。面会制限が続く理由について考えると、何らかの関係性があるのではないかと勘繰りたくなることもあります。
また、認知症の入所者に関しては、「家族が面会に来ると、その後、本人が自宅へ帰りたいとくり返し訴えて不穏になるので、面会を遠慮してほしい」と言われることが少なくありません。さらに、「認知症の人の介護は職員に負担がかかり、その影響で職員が離職すると施設運営が困難になるため、認知症の人を受け入れられない」と施設長が発言することも報告されています。このような状況は、介護する側の立場や視点から生じているのでしょう。
昨今、介護人材の確保が難しく、人員配置も厳しい状況にあるなかで、介護職員の負担が大きくなっていることは理解しています。しかしながら、介護保険を利用する本人や、その家族の立場や視点にも思いをはせていただきたいと願っています。
介護における視点の違いは、サービスの質や満足度に大きな影響を与えます。
介護を提供する側のめざす視点と利用する側の望む視点が、限りなく近づき、重なり合う日が来ることを心より希望します。
しだ・しんや 認知症の人と家族の会 副代表理事
(民医連新聞 第1852号 2026年5月18日号)
