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民医連新聞

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相談室日誌 連載602 複合的問題抱える人は増加 生活課題の共有で連携重要(山梨)

 看護小規模多機能型居宅介護を利用しながら、在宅生活を送る独居のAさんに介護支援専門員としてかかわっています。
 Aさんは自宅で転倒し、上腕骨折を契機にサービス利用を開始。県外出身で各地を転々とした生活歴で、「寅さんのようなくらしだった」と語ります。現在は、生活保護を利用しています。嗜好品を優先する傾向があり、食材購入が困難でした。その後、公共料金の未払いが重なり、電気が止められる事態に。関係機関に支援を求めましたが、なかなか取り合ってもらえませんでした。自宅には、さまざまな支払いの督促状や法律事務所からの書面もありました。
 金銭管理に対する支援が必要であると成年後見センターに相談。現状の課題を伝えると、本人の様子を確認してくれることになりました。関係機関にも再度実情を訴えました。最終的に、保護費は窓口支給へ変更され、家賃は援護課のケースワーカーによる代理納付となりました。
 看多機として、食材管理や郵送物の確認、支給日に同行しての支払い、買い物支援など、生活の課題を支援できるように見直しました。短期記憶障害が顕著で、判断力の低下もあり、成年後見制度の利用が相当と判断されました。後見申し立ての準備は関係機関の役割分担によりすすみ、疎遠だった親族とも意見書を通じてつながりました。本事例で、制度があっても本人の拒否や孤立で支援につながらない現実を実感しました。孤立しないように多機関へ働きかけ、支援体制を再構築できた事例でした。
 高齢化の進展で、認知症や社会的孤立など複合的課題を抱える人は増加しています。こうした課題を個人の問題として矮小(わいしょう)化するのではなく、基本的人権や生存権保障の視点から、社会全体の課題としてとらえることが重要です。
 ソーシャルワーカーには、本人の意思を尊重しつつ、生活困難や社会的孤立に目をむけた代弁、社会保障が担保できる役割が求められます。関係機関が「顔の見える関係性」で連携し、包括的にささえる体制を構築することが、権利擁護につながります。個別支援の実践課題を社会課題として捉え直し、制度改善や新たな仕組みづくりにつなげていくことも私たちの責務です。

(民医連新聞 第1852号 2026年5月18日号)