私たちが求めるケア ⑤介護におけるジェンダー的課題 文/牧野 優子
前4回では権利や実態、支援のあり方など、マクロな視点から語られてきました。今回はパーソナルでミクロな視点から、ジェンダー的課題についてお話しします。
弊会設立1980年ごろの調査によると、当時は妻、嫁、娘といった立場の多くの女性による介護が、9割を占めていたようです。私の親族でも祖母を介護していたのは長男の嫁、伯母でした。その伯母が祖母を見送った後、59歳で亡くなり、私の心に大きな目標が残りました。「元気に60歳を迎える。介護者になった時は私の健康も大切にする」。義母の主介護者になったのは、それから20年後。夫とともに「認知症の人と家族の会」につながり、介護保険を利用し、周囲の力を借り、子育てと介護のダブルケアの日々を過ごしました。
しかし、現在も介護の負担は女性に偏っています。昨年実施された茨城県の「ケアラー実態調査結果」でも、高齢者介護で7割弱、障害者介護で7割強、ダブルケアで8割強を女性ケアラーが占めていました。代わりにケアを担う人が「いる」「頼めばいる」を合わせても、半数程度。相談現場でも、女性介護者が夫や親族の無理解を嘆く言葉に対し、夫に積極的に参加するよう促すのではなく、妻側に理解や協力を求めるよう助言される場面に遭遇します。「逃げてよい」「あなた自身の時間を持ってよい」と語られることはほぼありません。独身の被介護者も増え、連絡してきた親族が甥の配偶者というケースで、専門職の方が親族の登場に安堵し、関係が遠いことに注目しないこともありました。
一方で、男性お一人で介護する方からの相談も増えています。女性側では「嫁」の介護が減少しています。ここに孤独な介護が半数近くになる背景が潜んでいるのかも。子育て同様、ワンオペは危険な旅です。介護者の権利や人生をともに考え、「介護は女性が担うもの」という意識を変えていくことが、孤独な介護を減らす一助になるのではないでしょうか。
まきの・ゆうこ 認知症の人と家族の会理事 茨城県支部代表
(民医連新聞 第1853号 2026年6月1日号)
- 記事関連ワード
- 介護
