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民医連新聞

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唯一の被爆国として橋渡しを 第11回NPT再検討会議 in アメリカ・ニューヨーク

 4月27日~5月22日の4週間にわたり、アメリカ・ニューヨークの国連本部で、「第11回NPT再検討会議」が開催。全国の民医連からも職員や共同組織が参加しました。当日の様子を、全日本民医連副会長の門脇めぐみさん(介護福祉士)が紹介します。

核不拡散条約とは

 核不拡散条約(以下NPT)は「核兵器の拡散防止・核軍縮・原子力の平和利用」を目的とした国際条約。現在191カ国が参加しています。
 1968年に採択、1970年に発効し、「1967年1月1日以前に核兵器を製造・爆発させた国」である米英仏中露の5カ国を核兵器国として認めています。核兵器国には軍縮義務が課され、その他の国には核兵器保有が禁止されています。条約の履行状況を確認するため、5年ごとに再検討会議が開かれます。最終文書は全会一致が必要で、2015年と2022年は合意にいたりませんでした。NPTに加盟していない核保有国はインド、パキスタン、イスラエルで、北朝鮮は2003年に脱退し核開発を続けています。

緊張が高まるなかでの開催

 今回の会議は、核保有国が各地で戦争や威嚇を行い、核リスクが高まるなかでの開催。冒頭、グテーレス国連事務総長はロビーの原爆展を紹介し、「核戦争の代償を警告するアラートだ」とのべ、多くの人に見てほしいと呼びかけました。
 会議は初日から緊張した雰囲気でした。アメリカは、副議長に選ばれたイランに対し「核利用の透明性が不十分だ」と批判。イランは「平和利用は合法であり、攻撃や制裁を受けるのは不当だ」と反発し、「核兵器を持つ国には甘く、持たない国は守られない」と不公平さを訴えました。
 ロシアや中国も、アメリカやNATOの核戦略を批判し、「自国の安全が守られなければ核兵器は手放せない」と主張。非核兵器国は、核兵器国による威嚇の禁止、核兵器のAIによる誤警報を防ぐ制度設計、核軍縮の加速などを求め、「核兵器をなくしたい国」と「安全保障のため必要だと考える国」の対立がはっきりと表れました。

被爆者とNGOが会議を動かす

 NPT参加中にオーストリア政府との懇談の場に同席する機会がありました。
 担当者は「NPTの信頼回復のためにも合意文書の採択が重要。被爆者の実相や市民運動が後押しになる」と語りました。
 実際、会議ではNGOや被爆者が核兵器の非人道性を強く訴えました。被爆者は「あの日、一瞬で街も家族も人生も奪われた」「黒焦げの人びとが水を求めて倒れていった」「生き残っても差別や後遺症に苦しんだ」と体験を語り、「私たちを最後の被爆者にしてほしい。核兵器と人類は共存できない」と強いメッセージを発信しました。これは国家間の議論に「人間のいのちと尊厳」という視点を持ち込む大きな力になりました。

日本政府の姿勢と世界の期待

 日本からは国光あやの外務副大臣が、「唯一の戦争被爆国として橋渡し役を担う」とのべましたが、核兵器国に軍縮を強く求める姿勢は弱く、消極的な印象です。
 現政権は、国会を通さず閣議決定で防衛装備移転三原則を改定し、殺傷兵器の輸出を可能にしました。さらに高市首相は「時代は変わった」とのべ、核共有や米軍核の持ち込みの可能性にも言及しています。一方で、2024年10月には日本被団協がノーベル平和賞を受賞し、被爆者の長年の努力が世界に評価されました。会議を傍聴して、唯一の被爆国である日本が平和憲法を守り、被爆者とともに核廃絶にむけてリーダーシップを発揮することを、多くの国や市民が期待しているということを強く感じました。

※最終文書案は今回も採決には至りませんでした。

(民医連新聞 第1853号 2026年6月1日号)