私たちが求めるケア ⑥介護者をささえるということ 文/尾之内直美
はじめて「認知症の人と家族の会」のつどいに参加したのは、義父の介護が始まって8年目、1994(平成6)年のことです。当時はメディアで介護の話を耳にすることはなく、周りで介護をしている人に出会う機会もありませんでした。仕事をしながらほぼワンオペ状態での子育てと介護に疲弊していた時、たまたま「つどい」(介護者交流会)を知り出かけました。「困っているのは私だけではなかった、もっと大変な人がいる」と気づき「同じことを何度も言われてイライラする」と聞くと「私もそうそう」と共感できるのです。わかり合える人と話ができることで、気持ちが楽になり「つどい」に参加して帰ると、少しだけ義父に優しくできました。認知症の介護はとても難しいです。だからこそ介護者をささえることができなければ、いい介護はできません。「つどい」に参加し、そのささえる力が「つどい」の場にあり、これは大事な活動だと感じて家族の会にかかわるようになりました。
あれから30年以上が経過し、これまで多くの介護家族に出会い、「つどい」の場もたくさん立ちあげてきました。「認知症の人に怒ってはいけません」「気持ちに寄り添いましょう」と言われますが、身内の介護では容易ではありません。本を読んでも講演会に参加してもそれほど力はつきませんが、つどいの場で聞く他の人の介護の様子は本当に参考になり、知恵も満載です。
同じ立場の人同士でささえ合うピアサポートは、心のケアの場にもなります。介護仲間もできます。参加を重ねるごとに知らず知らず介護の力がついていき、自然と怒らないで寄り添える介護ができるようになります。家族が力をつけることで、認知症の人にとっても安心できる場となります。ですから認知症の人の支援には介護者の支援が欠かせません。認知症の人の支援と介護者の支援は両輪です。専門職の人たちにはこのようなつどいの場を家族に伝えていただき、支援の連携を図っていけたらと願っています。
おのうち・なおみ 認知症の人と家族の会理事 愛知県支部代表
(民医連新聞 第1854号 2026年6月15日号)
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