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民医連新聞

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『認知症実践ハンドブック改訂版』発行 各地の実践的な経験を紹介 職場や地域で活用を

 今年3月、全日本民医連は『認知症実践ハンドブック改訂版』を発行しました。改訂版について認知症委員会委員の宮澤由美さん(医師)に聞きました。(長野典右記者)

■8年ぶりの改訂

 2018年3月に発行した『認知症実践ハンドブック』は民医連の自主研究会の認知症懇話会と精神医療委員会を中心に編集委員会をつくり、40人で執筆しました。第43期運動方針では、医療や介護、職員育成、まちづくりの課題を総合的にすすめ、認知症になっても安心して住み続けられるまちづくりを提起。その後、認知症委員会は発足しました。
 2024年1月、認知症基本法が施行、アルツハイマー病の新薬「レカネマブ」の治療がはじまる転換期になりました。2025年は団塊の世代が後期高齢者となり、全国の民医連事業所にとっても区切りの年になりました。
 そこで、この8年間の経験の蓄積も生かしながら、新たな時代の展望のために、27人が執筆を担当し、『認知症実践ハンドブック改訂版』を出すことにしました。サイズもハンドブックを意識し、A4サイズからB5サイズに変えました。

■書き加えられたとりくみ

 今回の改定版では、総論で介護職の視点から「認知症のケア」について(1‐3)を付け加えました。認知症ケアでもっとも重要なことは介護者のかかわり方で、介護者の態度や接し方が本人の安心感や症状の安定に大きく影響することを指摘しています。
 各地のとりくみでは、福岡・みさき病院の「認知症緩和ケアの取り組み」(2‐3)、宮城・坂総合病院の「認知症マフの取り組み」(2‐6)も付け加えました。マフは毛皮や織物でつくられた両端の開いた口から手を入れて用いる防寒具。認知症マフは落ち着かない患者の手を穏やかに温かく保つことができます。このマフは共同組織の人が作成することで共同のいとなみの一つになっています。
 「伴走型支援事業の取り組み」(2‐7)では、岡山ひだまりの里病院を紹介しています。認知症伴走型支援事業とは、在宅の認知症患者と家族に、生活上の課題について継続的な支援、情報提供、助言などを行う、2021年につくられた国の事業。グループホーム運営推進会議での協議や準備で認知症カフェを立ちあげました。試行錯誤を続けながら、継続したとりくみを行っています。巻末では、患者が認知症と診断を受けた日から今日までの日誌を写真も使い、紹介しています。

■各職場での学習

 この『認知症実践ハンドブック改訂版』を医科法人や介護事業所に普及し、読み合わせするなど各職場で活用してもらいたいと思います。また共同組織の人にもひろく普及してもらいたいと思います。共同組織は元職員も多く、地域の高齢者に接する機会もあるので、手に取ってほしいです。

 本書は(株)保健医療研究所のオンライン書店で注文できます。定価:700円。問い合わせ先:03―5842―5656。

認知症実践ハンドブック改訂版目次
1総論
 1‐1 認知症とはどのような病気か-認知症が疑われる日常の変化
 1‐2 認知症の医療と介護-治療に関して
 1‐3 認知症のケア-介護職の視点から
 1‐4 認知症のリハビリテーション
 1‐5 認知症の人の食をささえる
 1‐6 認知症の医療・ケアの倫理的課題と意思決定支援
 1‐7 ケアの倫理と認知症のある人に対するケア実績
 1‐8 認知症の人の運転
 1‐9 病院家族会・心理教育
 1‐10 若年性認知症について
 1‐11 当事者からの発信
 1‐12 認知症基本法について
 1‐13 認知症と介護保険制度
 1‐14 認知症と社会資源
 1‐15 新型コロナウイルス感染症と認知症-経過と課題

2各地の取り組み
 2‐1 認知症初期集中支援チームの活動
 2‐2 身体拘束最小化-本人の思いに寄り添ったケアへの実践
 2‐3 認知症緩和ケアの取り組み
 2‐4 老健から在宅へ
 2‐5 訪問活動
 2‐6 認知症マフの取り組み
 2‐7 伴走型支援事業の取り組み
 2‐8 行政と一体となった地域認知症ケアの取り組み
 2‐9 認知症看護認定看護師等の活動
 2‐10 認知症に関する薬剤師の役割
 2‐11 認知症ケアを担う職員育成について
 2‐12 岡山県連認知症研究会の活動について

私の思い

(民医連新聞 第1854号 2026年6月15日号)