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民医連新聞

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相談室日誌 連載604 権利は本当に守れたのか 成年後見制度の整備急務(岐阜)

 みどり病院は99床の内科病院です。一昨年にリニューアルし、旧病院の近くに新しく建て変わりました。門前診療所内にあった精神科外来は新病院に統合しました。
 当院の精神科に通院中の70代女性Aさんは学齢期から学業についてゆけず、就労経験はなく、若いころ精神科に通院歴がありましたが中断。普段から独語あり、簡単なコミュニケーション以外は困難な人です。独身の兄と長年二人暮らしをしていましたが、出かけて家に帰れなくなるなどのトラブルが続き、包括支援センターの紹介で精神科受診になりました。その後、糖尿病で内科受診となりました。同居の兄は飄々とした性格で、あまり細かいことに頓着しない人でしたが、Aさんをできる限りお世話していました。しかし服薬などの管理が難しく、訪問看護やヘルパーを導入してなんとか生活を維持していました。
 数年前に兄が大腸がんの治療を受けることになりました。徐々に認知機能の低下が目立つようになり、在宅支援で本人のケアを続けていくことが困難になってきました。Aさんは糖尿病からくる心不全が悪化し、当院内科へ入院。兄のケア力の課題から自宅に戻ることが困難と判断され、施設を検討しましたが、認知機能の低下した兄が施設の契約を行うことが難しく、施設探しは難航。成年後見制度の市町村長申立について2度、市と協議しましたが、受け付けてもらえませんでした。市の言い分は成年後見人が契約行為を代行できるわけではないというものでした。最終的に民間の身元保証会社を利用して施設へ入ることになりましたが、本人や兄の権利を守れたのかという残念な思いが残りました。
 現在、成年後見制度の見直しや身元保証の制度化などがすすめられています。身寄りがない人の入院および医療にかかわる意思決定が困難な人への支援に関するガイドラインが出ましたが、介護福祉分野の契約では依然として家族や第三者の同意がほぼ必須で、やむを得ず身元保証会社を利用するケースが増加しています。身元保証会社は成年後見制度に比べて確かに簡便でありますが、法的な裏付けはなく、対応の質や財産管理への疑義などトラブルも多く、制度の整備が急がれると感じています。

(民医連新聞 第1854号 2026年6月15日号)