私がここにいるワケ 生活背景診られる医師養成 未来の後継者研修制度づくり
民医連で働く多職種のみなさんに、その思いを聞くシリーズ第17回目は、福岡・千鳥橋病院医局事務部で働く、牛島優さん(事務)です。(長野典右記者)
入職12年目の牛島さんは高校時代、「福岡おにぎりの会」による食料支援に参加していました。大学ではゼミで社会問題について学び、地域や社会とのつながりを意識するようになったことから、同院のホームレス医療支援活動に参加。その活動を通して同院の理念やとりくみに共感し、福岡医療団に就職しました。
最初の1年は城浜診療所に配属となり、チーム医療を体験しました。訪問診療にも同行し、患者が暮らす生活実態に触れる機会となりました。気になる患者についてはカードを作成し、職場で情報を共有しながら対応を検討しました。「診療所の楽しさを学んだ」と牛島さん。
■地協の熱感じる企画
千鳥橋病院医局事務部に異動になり、最初は医学対を担当。奨学生の育成やそのつながりをひろげるための企画として、食事会や定期的な学習会を企画しました。同院の女性医師の会「JOYJOY」の医学生版も立ち上げ、医師の子育てやライフプランなどをテーマに交流会を行いました。また、奨学生確保のために全国各地を訪問しました。九州・沖縄地協の企画にも積極的に参加し、さまざまな医学生と交流しました。コロナ禍では医学生との対面での行動が制限され、院内の感染対策や広報活動などを担当しました。
その後、臨床研修課の研修担当に異動。基幹型臨床研修指定病院として、初期研修医をはじめ、内科専攻医、総合診療専攻医、トランジショナル・イヤー(TY)などの専門研修をささえる事務を担っています。医師の勤務管理や日常の困りごと、トラブル対応にあたりながら、研修内容や外部研修の日程調整なども行っています。「TY研修では、内科を深めたい人や進路の選択肢をひろげたい人など、一人ひとりの希望に応じて柔軟に対応しています」と牛島さんは語ります。
これまで3回実施してきた九州・沖縄地協主催の後期研修医交流集会にも携わってきました。昨年は沖縄で開催し、約30人の医師が参加。交流企画のなかでは戦跡を巡る平和学習も行いました。「やはり九州・沖縄地協の熱を感じます」と牛島さん。
■全国の経験も学ぶ
現在の仕事を担うようになってからは、日々の悩みや苦労もあるなかで、「牛島さん、ずっといてください」と声をかけられることが何よりもうれしいと話します。また、高校生や奨学生のころからかかわってきた医師たちが成長し、いまでは中堅医師として活躍する姿を見守れることも、大きなやりがいになっています。
2018年に始まった新専門医制度では、わからないことも多く、手探りでの対応が続きました。
そんななか、全日本民医連が主催する臨床研修交流会や研修担当事務交流集会に参加し、全国の仲間の経験に学んできました。「全国の経験から学ぶことが、今の現場での力になっています」と言います。
■SDHの視点で
医師養成が喫緊の課題となるなか、医学生とのつながりを大切にしながら、医師研修担当としての責任を強く感じています。「医師の働き方改革をすすめながらも、現場で奮闘する医師をしっかりささえていきたい」と語ります。
一方で、医師増員をすすめることなく、医師研修の定数を削減する国の政策には疑問を感じています。また、国が定める医師研修制度は国民のいのちと健康をささえる基盤であり、その充実のためには必要な予算措置を講じるべきだと訴えます。
医師養成では、民医連が大切にしてきた「患者を生活背景から診ること」、そして「健康の社会的決定要因(SDH)の視点を育むこと」を目標に据えています。一方で、研修医の専門志向が強まっている現状にも応えられるよう、専門研修の充実を図りたいと考えています。
後期研修をさらに充実させることで、病院をささえる担い手づくりにも貢献していきたいと語ります。「自院では取得できない専門領域については、外部の研修施設に送り出さざるを得ない状況です。しかし、一人ひとりの専攻医に合わせた研修プランを作成し、より充実した研修を実現していきたい」と、今後の抱負を語りました。
福岡・千鳥橋病院 医局事務部
牛島 優さん
(民医連新聞 第1855号 2026年7月6日号)
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